競争力のある賃貸住宅を経営したいKさんの事例
今回ご紹介する事例の物件は、借地人が売りに出していた土地の借地権を買い戻し、そこに建てたペット共生の賃貸住宅です。
周辺は閑静な住宅地で、用途地域は第1種低層住居専用地域に指定されています。同地域内では、建物の高さが10mまでに抑えられていることから、賃貸住宅の設計に当たっては、戸建てと同程度のスケール感に抑えるように心掛けました。
地主のKさんは、連載第1回でご紹介した賃貸マンションのオーナーです。
この土地でペット共生の賃貸住宅を建設することになった発端は、そこを借りていた借地人が建て売り住宅4戸の販売事業を計画し、地主であるKさんに承諾を求めにきたことにあります。
「建て売り住宅を建てるなら」と、Kさんは借地権を買い戻し、自ら土地活用に乗り出すことを決めたのです。そして、競争力のある賃貸住宅を経営しようと、筆者のところに相談してきました。
需要は多いにも関わらず供給の少ないペット共生物件
ペット共生住宅になったのは、競争力を求めた結果です。ペット市場を調べると、イヌやネコといったペットは4軒に1軒の割合で飼われているそうです。
それに対して、ペットとともに暮らせる賃貸住宅は明らかに少ない。そこに、確実にニーズを見込めると考えていました。入居者には長く住み続けてほしいと願うKさんの考えにも、ペット共生住宅は合致します。
建物は戸建て感覚を重視し、1階住戸は道路から直接出入りするスタイルを取りました。地面から1mほど上がった場所に1階のフロアを設定しています。一部の住戸は地下とのメゾネットです。
建物の周囲は掘り込んでドライエリアを設置していますから、この地下の居室にも採光や通風を確保できます。戸建て住宅とさして変わらない造りの1階住戸は大型犬2頭までとともに暮らすことが可能です。
2階と3階は通常の賃貸住宅のように、共用のエントランスから入ってエレベーターで各フロアに上がるというアプローチです。ペットと暮らせるペット共生である点は1階と共通ですが、2、3階は小型犬と猫2頭までに限っています。
この話は次回に続きます。