(※写真はイメージです/PIXTA)

アパート経営の目的は、利益の追求と利益の最大化です。しかし同時に、アパート経営には人々の安全な暮らしを支えるという社会的使命も課せられています。これらの視点が欠けていると、今後ますます厳しくなるこの業界で勝ち残ることができません。これからのアパート運営に必要な思考術や運営ノウハウを、専門家がわかりやすく解説します。

アパート事業の運営に求められる「企業経営のセンス」

アパート事業においては、利益を最大化することを求めるべきであると先述しました。

 

そして、アパートの保有期間、つまりアパート経営期間においては、必ず収入と支出(費用)のバランスを考える必要があります。これは会社経営とまったく同じことです。

 

単純な話ですが、収入-支出=利益となります。

 

アパート経営の場合、収入に相当するのは主に家賃収入(他に、礼金や更新料等)です。いかに高い家賃を取るか、そしていかに空室率を減らし、稼働率を上げることで家賃収入を最大化するかが大きなポイントになります。

 

そのためにはどのような管理運営体制(入居者募集体制)を構築するかが重要であり、そのために最も効率的なリーシングマネジメントが重要になります。

 

さらには、売上=収入とはなりません。つまり、滞納等の理由により、契約書に書いてある賃料をそのままもらえるわけではありません。

 

収入=売上(契約賃料等)×回収率なのです。

 

いかに滞納をなくし、回収率を100%に近付ける仕組みを作るかが重要になります。

 

一方、アパート経営における支出(費用)は、アパートの運営・維持のために必要な支出(費用)です。

 

まず、固定資産税や水道光熱費、エレベーター維持費等の定期的に発生する費用があります。これは、基本的に入居率とは連動しない固定費に相当します。

 

そして、売上(家賃収入)を上げるためにかかる支出(費用)があります。いわゆる変動費であり、例えば入居者を入れるために賃貸仲介会社に支払う広告料が代表的なもので、入居者の募集に当たって室内をリフォームする費用もこれに該当します。

 

いくら家賃が入ったところで、出ていく金額がそれ以上に大きければ利益は出ません。5万円の家賃の部屋に入居者を入れるために、100万円のリフォーム費用をかけることは明らかに合理的ではないのです。

 

利益を出すためには、「入り」も重要ですが、「出」も重要になってきます。

 

しかし、日々管理の実務を行っていると、「入り」にだけ目がいって、「出」に対して無頓着になってしまっている方が多いように感じます。入居者が決まるのならばと度を超えた高額なリフォーム(リノベーション)をしてしまっては、意味がありません。

 

ご自宅であれば、悪く言えば自己満足の世界ですから、好きなように費用をかけることは決して悪いことではありません。

 

しかし、アパート経営は、いかに支出を抑えて(費用をかけずに)収入を高めるかという、企業経営とまったく同じものです。この視点に立ってアパートを経営していく必要があるということに気付いた方だけが、この大空室時代(逆風時代)に生き残ることができるのです。

 

一方、「出」にだけ目がいって必要な工事を行わないケースも散見されます。現在の部屋余りの時代においては、室内を一定レベルのクオリティにしなければ家賃を下げたからと言って決まりません。もったいないと言って室内リフォームをまったくしなかったばかりに空室が増え、そのことでまたリフォームできない(支出ができない)という悪循環に陥ってしまうのです。

 

最低限の室内リフォームは必ず行うべきです。

 

また、水が漏れているので排水管を取り替えるというケースがあります。このケースは、リフォームのように部屋がきれいになるわけではないので、オーナーさんにとって達成感がありません。出費を渋りたくなります。

 

しかし、建物を維持するためには絶対に必要な支出です。要は、「入り」と「出」のバランス、さらにはその内容をよく吟味して判断することが重要なのです。

 

要は、「入り」と「出」のバランス、さらにはその内容をよく吟味して判断することが重要なのです。

 

 


大谷 義武
武蔵コーポレーション株式会社 代表取締役

 

太田 大作
武蔵コーポレーション株式会社 専務取締役

 

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※本記事は、『空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

[増補改訂版]空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式

[増補改訂版]空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式

大谷 義武,太田 大作

幻冬舎メディアコンサルティング

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