「確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年このような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

つみたてNISAの対象は長期投資の商品ばかり

こうして比較すると、じつはつみたてNISAを使ったほうが、より多く投資ができることがわかります。この違いをふまえると、長期投資にはつみたてNISAのほうが合っているといえるでしょう。

 

ただし、人によっては一般NISAのほうが合っている可能性があります。一般NISAに向いているのは、つぎのようなタイプの人です。

 

①短中期で十分な利益を出せる自信がある人
②いろいろな金融商品に投資をしてみたい人

 

とくに重要なポイントは②です。つみたてNISAの場合、金融庁が定めた一定の基準を満たした「投資信託」と「ETF(上場株式投資信託)」のみが対象になります。つまり、個別の株式を買って売買をするような投資スタイルには使えないのです。

 

一般NISAには、このような制限はありません。個別株の売買も対象になりますし、もちろん投資信託やETFに投資をしても問題ありません。

 

2020年12月時点で、つみたてNISAの対象となっている商品の数は、167とのことですから、つみたてNISAを利用したいのであれば、この限られた選択肢から選ぶ必要があります。

 

ただ、この選択肢の少なさも、ある意味でメリットといえます。つみたてNISAの対象となる金融商品は、長期投資に向いた商品ばかりです。具体的にいうと、手数料の負担を抑えながら、着実に資産を育てていける商品が、つみたてNISAの対象になっています。

 

私自身、一般NISAではなく、つみたてNISAを選択し、毎月投資信託のつみたて投資をおこなっています。ここで得たリターンは非課税ですから、将来どのように増えていくのかが楽しみです。

 

なお、老後資金を貯めるうえでは年間40万円というつみたてNISAの上限では足りないと考える方もいるでしょう。そのときは、iDeCoや小規模企業共済などもあわせて活用してみてください。
 

 

本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2021年4月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。

 

小林 義崇
フリーライター 元国税専門官

 

 

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確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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