「確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年このような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

確定申告は持参、郵送、e-Tax、得なのは?

正解:「e-Tax」にすれば青色申告特別控除が増える

 

ここまで、おもに確定申告書の「中身」に関するポイントを解説してきました。じっさいに確定申告書を提出し、納税をする場面で気をつけたいことをまとめます。

 

同じ内容の確定申告書でも、提出方法や納税方法によっては損をしてしまう可能性があるので、まずは基本的なルールを理解しておきましょう。

 

e-Taxがおすすめな理由は、これが節税につながるからだという。(※写真はイメージです/PIXTA)
e-Taxがおすすめな理由は、これが節税につながるからだという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

最初に取り上げるのは確定申告書の提出方法についてです。確定申告書を作成したら、申告期限までに税務署に提出をしますが、このときに以下の3つの方法を取ることができます。

 

①所轄の税務署に直接持参する
②e-Taxを利用する
③所轄の税務署に郵送する

 

確定申告書の内容に不安がある人は、①を選びたいのではないでしょうか。たしかに、間違いがあっては困りますから、直接税務署の職員に見てもらいたいという気持ちはわかります。でも、あまりすすめられません。

 

というのも、確定申告の時期の税務署はひじょうに混み合っているからです。つぎからつぎへとくる納税者の対応で、職員がじっくりと申告書をチェックできる状況ではありません。じっさいに細かくチェックがなされるのは、確定申告書を提出したあとになるので、何か間違いがあれば、税務署に呼び出されてふたたび時間が取られる可能性もあります。

 

そこで、「e-Tax」と「郵送」のどちらを選ぶかということになります。これらの方法を選べば、税務署に行かずに確定申告を済ませることができます。

 

e-Taxとは、電子申告を意味します。つまり、インターネットを使って申告書のデータをつくり、税務署に送信するという方法です。私がe-Taxをおすすめする最大の理由は、これが節税につながるからに他なりません。

 

まず知っておいていただきたいのが、税制改正によって令和2年分の確定申告から、青色申告特別控除が従来の65万円から55万円に引き下げられるということです。ただし、その代わりに誰でも使える所得控除である「基礎控除」が38万円から48万円にアップするので、プラスマイナスゼロになります。

 

あわせて、この税制改正を受けて、「青色申告の人がe-Taxで申告をすると、青色申告特別控除が最大65万円になる」というルールもできました。つまり、青色申告の人がe-Taxを使えば、従来よりも所得控除額を10万円増やせるということです。

 

所得控除が10万円増えるということは、所得税は年間5000〜4万5000円、住民税は年間1万円を節約できる計算です。これが毎年つづくわけですから、使わない手はありません。

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確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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