女性の活躍が推進されている時代でありながら、多くの女性が出産や育児をきっかけに働くことを諦めている今の日本。その理由として、保育園を巡る問題が挙げられます。本連載では、ベビーシッター事業、保育園事業、病院内保育園委託事業、企業主導型保育園のFC事業、人材育成・派遣・紹介事業などを展開する株式会社マザーグース代表取締役の柴崎方恵氏が、現代日本を取り巻く「保育環境」や、子を持つ会社員の負担を最小限に抑える「企業主導型保育」導入のメリットについて解説します。

「希望するタイミング」で預けられない人も…

ただ、預けたいタイミングで預けられているのかというと、必ずしもそうではないようです。

 

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「労働者アンケート調査(平成30年度)」によれば、保育所等へ入所済みの人に、末子の保育所等への入所時期が希望に合っていたかという質問をしたところ、「あてはまる」と回答したのは、正社員の女性で67.2%、非正規社員の女性で68.2%でした。

 

保育所等に預けることができた人のなかでも2割弱が希望する時期に預けることはできなかったようです。

 

この調査の対象となったのは「保育所等へ入所済みの人」なので、保育園に入れなかった人を入れると、復職のタイミングで預けられなかった人はもっと多い可能性もあります。

コロナ禍、保護者の収入減で「入園希望」増加

また、待機児童数は社会情勢に左右されるという点を忘れてはなりません。それが顕著に表れたのが、新型コロナウイルスの流行でした。私が経営する保育園でも、新型コロナウイルスの流行に伴って、問い合わせの件数が明らかに増えました。これは、コロナ禍によって収入が減り、子どもを預けて働きたいという人が増えたと考えるのが妥当でしょう。

 

各自治体は保育の受け皿を増やしてきましたが、潜在的に「働きたい」と考えているお母さんはまだまだたくさんいる可能性があります。

 

実際に、国立社会保障・人口問題研究所の第15回出生動向基本調査で、出産を終えた段階で仕事に就いていない人を対象に就業希望の有無を尋ねたところ、86%の人が就業したいと考えていることが明らかになりました。

 

そういった人たちが大きな出来事をきっかけに、同じタイミングで子どもを預けて働こうと考えて一斉に行動に移した場合、「働きたいのに預けられない」という状況が発生することは今後も十分にあり得るでしょう。

 

 

株式会社マザーグース 代表取締役 柴崎 方恵

 

 

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柴崎 方恵

幻冬舎メディアコンサルティング

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