女性の活躍が推進されている時代でありながら、多くの女性が出産や育児をきっかけに働くことを諦めている今の日本。その理由として、保育園を巡る問題が挙げられます。本連載では、ベビーシッター事業、保育園事業、病院内保育園委託事業、企業主導型保育園のFC事業、人材育成・派遣・紹介事業などを展開する株式会社マザーグース代表取締役の柴崎方恵氏が、現代日本を取り巻く「保育環境」や、子を持つ会社員の負担を最小限に抑える「企業主導型保育」導入のメリットについて解説します。

「育休から復帰」も、すぐ退職を検討する社員多数…

「私はこのまま働き続けるべきなのでしょうか……」

 

育児休業(育休)から復帰した女性社員の口から、そんな弱音が漏れるのは、珍しいことではありません。保活を勝ち抜いて子どもを保育園に預けることができたときには、独身時代に戻ったかのような身軽さで、「さあこれから働くぞ!」と意気込んでいたはずなのにです。

 

出産後も働き続ける女性が増えてきたとはいえ、まだ4割を超える女性たちが妊娠出産をきっかけとして離職しているという現実からも、今の日本社会で子どもを育てながら働くことの大変さがうかがい知れます。

 

出産前までは、業務をバリバリとこなし、いきいきと働いていたのに、育休から復帰して時短勤務で働くうちに、どんどん疲弊していき、会社を辞めることを考える――。

 

子育てをしながら働く女性社員たちが出産前の職場で働くことを諦めざるを得なかった背景には、どんな事情があったのでしょう。

 

働きたいのに…(画像はイメージです/PIXTA)
働きたいのに…(画像はイメージです/PIXTA)

一時期と比較すると認可保育園に預けやすくなっている

まず、出産前の職場で働き続ける以前に必要になるのが“職場に復帰したいタイミング”で子どもを預けられる先があるかどうかということです。

 

近年の待機児童数の状況を見てみると、2020年には全国で1万2439人となりました。厚生労働省によれば、待機児童数の調査を開始して以来、過去最少の人数です。自治体ごとに状況を見てみても、約8割の自治体では待機児童がゼロになっていて、自治体の待機児童数の格差も減っているという状況です。

 

[図表]待機児童数と保育所定員の推移

 

政府は「子育て安心プラン」として、2018~2020年度までの3か年計画で、待機児童問題の解消を目指してきました。女性の就業率が8割まで上がっても対応できるように、2020年度末までに32万人分の保育の受け皿を新たに確保し、待機児童問題を解消することを目標としてきたのです。

 

2020年9月時点の厚生労働省の発表によれば、子育て安心プランの2年目となる2019年度までの保育の受け皿の拡大量は、市区町村分で約16.4万人分、企業主導型保育事業で約3.7万人分となり、合計で約20.0万人となっています。

 

また、子育て安心プランの実施方針に基づく各市区町村の「子育て安心プラン実施計画」の集計によると、企業主導型保育事業の事業主拠出金による整備予定量と合わせて、2020年度末までに、約31.2万人分の保育の受け皿を拡大する見込みであると発表しています。

 

このように、数字だけを見ると、政府が目標としている32万人分には届いていないものの、待機児童数がピークだった頃に比べれば、認可保育園に預けやすくなっているといえるはずです。

 

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出産・育児による離職ゼロを実現!企業がつくる保育園

出産・育児による離職ゼロを実現!企業がつくる保育園

柴崎 方恵

幻冬舎メディアコンサルティング

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