目に見えて増えている「訪日客」に関連した銘柄に注目
①テーマ【インバウンド】
株主優待株で優待品をもらうだけでなく、値上がり益にも期待して投資を考える場合、現在好調なテーマや今後の伸びが予測されるテーマから銘柄を探ります。好調を裏付けるデータを確認し、動向を追っていくことで投資効率をアップさせることができます。
●訪日外客数
日本政府観光局(JNTO)訪日外客数 毎月20日前後 16:00発表
円安進行で訪日旅行の割安感が高まったことや、ビザの免除・緩和対応、訪日旅行プロモーション、航空路線の拡大など、様々な要因から訪日外客は目に見えて増加しています。
2014年頃まで訪日外客数はさほど注目されていませんでしたが、急激な訪日外客の増加を受け、現在では訪日外客数発表の前後で関連銘柄の株価が大きく変動するようになりました。
この指標では、全体の「訪日外客数」の動向を押さえる他、「国別の来訪者数」に注目します(下記図表1参照)。
[図表1]訪日外客数の推移
資料を見ていくと、訪日外客数全体が右肩上がりに順調に推移している中、中国からの訪日外客数も大幅に増加し、全体に占める比率が高まっていることがわかります。
この結果から、インバウンド関連銘柄の中でも、特に訪日中国人の需要取り込みを強化している企業が有望と考えることができます。
また、観光庁が公表している「訪日外国人消費動向調査」で消費動向をチェックすることも重要です。「訪日外国人消費動向調査」では、国別に訪日外客が日本滞在中に何にいくら使ったのかを確認することができます。
たとえば宿泊費、飲食費といった具合に参考数値が公表されています。中国からの訪日外客は、宿泊費、交通費はさほどではないものの、買物代は飛びぬけて高く、訪日の目的が買物中心である、と読み解くことができます。
買物代はさらに細分化されて公表されています。たとえば、電気製品、カメラ・ビデオカメラ・時計、化粧品、医薬品など、商品別の動向を確認できます。
中国からの訪日外客の動向では、特に免税率の高い日本製の時計やカメラなどの消費が目立ちます。こうした全体の背景と細かい動向を確認し、その結果から投資先企業を絞り込んでいくことができます。
「全国百貨店売上高」で消費者動向を探る
●インバウンド+消費動向
日本百貨店協会 全国百貨店売上高 毎月20日前後
消費者動向を探る上で、全国百貨店売上高は欠かせない統計となります。数字だけの経済統計が多い中、その月の天候、営業日、連休、訪日外客の動向なども含めて特徴が明記されており、読み解きやすい統計です。
全体の動向の他、特に注目しているのが「地区別の動き」や「商品別の動き」です。前年比の伸び率に加え、消費のトレンドを探ることができます(下記図表2参照)。
[図表2]全国百貨店 売上高速報(2015年9月)
実際に2015年9月の統計資料を見てみると、地区別では東京と大阪が6カ月連続プラスで強い印象を受けます。
次に、商品別に注視してみると、化粧品、美術・宝飾・貴金属が6カ月連続プラスになっており、好調な推移となっています。商品別売上前年比でもこの2分類が大きく上昇しており、化粧品や宝飾品(時計を含む)といった、訪日外客に人気の商品が伸びていることがわかります。
この結果から、東京や大阪を主としている百貨店各社、あるいは化粧品・宝飾品を手がける企業への投資が有効と判断することができます。