再考を迫られた「スタッフ運営」のスキーム
そして筆者は事業を展開する上での最大の問題点、求人についても自分の考え方を見つめ直して方向性を確立していった。
元々CIELは経営面のリスクと、お客様がくつろげる十分なサービスを提供できるように、という考え方で、業務委託と正社員のハイブリッドサロンとして運営していた。しかし開店から2年が過ぎ、このハイブリッドサロンの難しさが見え始めていた。
同じ店内に異なる契約形態の人がいるとスタッフを統率することが難しくなる。正社員からは、いつも業務委託の人のサポートをやらされることへの不満が出る。本人たちにしてみればそのような契約だからと割り切ることは難しく、スタッフの間にこのような不満が積もってくると些細なことでトラブルが生じる。そういう状態が続くと店自体の雰囲気が悪くなる。そのような状態の美容室ではお客様はゆったりくつろいで過ごすことはできないだろう。
また、2017年はCIELと同じようなお手頃価格でお洒落な大手サロン数社が、全国で店舗数を伸ばしていた。これら大手の美容室が次々と進出してきて、人手不足の美容業界で美容師を採用していったら、今後数年先は今よりもっと求人は難しくなるだろう。
どうすれば彼らに対抗して求人をかけていけるか。筆者はそれを考えるために大手サロンの求人のやり方を分析した。
美容業界で隠蔽され続けた「業務委託」の問題点
大手サロンは資本力があるので、求人媒体にガンガン広告を打つことができる。広告はトップページに表示されるほど、人の目に触れやすくなる。そしてその広告の中に、実態とは違うかもしれないけれど魅力的な条件が書いてあれば、そこに応募する美容師も増えるだろう。
注目していた大手サロン数社はすべて業務委託契約に的を絞って求人していた。求人広告の表に出てくるのは美容師が業務委託契約で働くことのメリット――自由出勤で、完全歩合制で、報酬が高いという認識だけ。だから美容業界全体で業務委託という働き方が人気になっているけれど、業務委託で働くことのデメリットを理解している美容師は少ない。
それは経営者にとっては業務委託で働いてもらう方が好都合なので、経営者が業務委託のデメリットをあえて説明しようとしないからだ。実は業務委託という働き方はデメリットも多い。個人事業主という働き方になるので、労働基準法の適用範囲外になる。もし自由出勤といいながら長時間労働を強いられていたとしても、休みを取ることができなくても、労働者として守られてはいないので美容室側を訴えることはできない。
何かお客様とトラブルになった時にも責任はすべて個人事業主である美容師にあって、美容室が仲裁に入って解決してくれることはない。他にも、正社員で働くことの方がメリットが多いのだが、この点はあまり美容師には認識されていなかった。
この状態なので今でも業務委託を希望する美容師は大手サロンにどんどん流れている。もし今後美容師の取り合いが激化したら、大手サロンは資本力にものを言わせて業務委託の歩合率を上げるかもしれない。そうしたらうちに太刀打ちはできないだろう。
ではどうすればいいか。
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