企画書を持ってくる「提案力のある営業担当」を選ぶ
収益物件で長期間競合物件と差別化を図るには、周辺地域のニーズに合ったコンセプトが必須であり、医師免許は強い武器になります。
ところが、残念ながらコンセプトというものはすぐに思いつくものではありません。まして一般的な社会人よりもはるかに多忙なドクターに、そのことを考える余裕はないのではないでしょうか。
そこで頼りにしたいのが、収益物件の仲介や販売を行うパートナー、つまり不動産会社の営業担当です。しかし、すべての営業担当がコンセプト立案の達人というわけではありません。それゆえ、立地条件と利回りだけをアピールするマニュアル通りの営業手法になりがちなのです。
そこで、しっかりとコンセプトを立案できる営業担当を見分ける必要があります。
まずは、担当者の「提案力」を確認します。たとえば、「何か差別化の提案はありませんか?」と聞いたときに「ありません」と即答するようでは論外です。多少時間がかかっても、企画書を持ってくるような提案力の有無を確認しましょう。
実現可能な提案かどうかを見極めることも重要
次にこの提案が絵に描いた餅ではなく、実現可能かどうかの「実行力」を見極める必要があります。見極めの際のチェック項目には、以下のようなものがあります。
●計画実現までのスケジュールを記した工程表はあるか
●あるなら1カ月後、2カ月後にどのような状況になっているか、そして完成はいつなのか
●それまでにかかるコストやその後の収支計画に無理はないか
ここまで漏れなく説明できる実行力があれば、営業担当としてのスキルは合格といえるでしょう。
ただし、いくら美しい提案でもオーナーである医師をやる気にさせなければ意味がありません。ご存知のように不動産は高額商品です。「提案の筋は通っているけど、なんとなくやる気になれない」ということもあるでしょう。
筆者は経験上、その「なんとなく」の原因の多くは営業担当自身にあると考えています。たとえ計画に落ち度がなくても、その営業担当は「この人なら任せられる」と思える条件を満たしていないのです。そして、その条件とは「安心感」です。
本音で話せる関係を築けるか?
しかし、安心を感じるポイントは人それぞれです。理詰めの説明、趣味の話、一緒にお酒を飲んでいて楽しい、子どもが同世代、医療に対する知識が豊富・・・、といったように、これは相性としかいいようがないかもしれません。
そのため「提案力」と「実行力」があることが判断できたら、「この営業担当に本音を話すことができるか」と自問自答してみてください。不動産運用を行う医師にとって、営業担当はまさに「女房役」です。年収や預金、そして将来の目標などをすべてさらけ出す必要があります。逆に営業する側からすると、さらけ出してもらわないと何年ローンがいいのか、どこの金融機関がいいのかといった最適な提案ができません。
営業担当はそのことをよく知っているので「本心で話してください」というスタンスで接してきます。このときに「何だか話しにくい」と感じるようなら、あなたはまだその担当を信用していないということになります。
そのときには、もう少し時間をかけてみる、上司に連絡して担当を替えてもらう、あるいは違う不動産会社へ相談するべきでしょう。
ちなみに筆者は、お酒が飲めるドクターならば、場合によっては軽くお付き合いをお願いすることがあります。お酒が入ればお互いに腹を割って話すようになるものです。「息子と一緒にクリニックを作りたい」「あと○○○○万円あれば目標達成だ」といった話が聞けて、「ならばこうしましょう」とオフィスでは決してできなかった仕事の話ができることもあります。なかには、後日「あの晩の話で人生が変わった」と言ってくれたドクターもいました。
とにかく、不動産運用には腹を割ってじっくり話し合えるパートナーの存在が必要不可欠ということは間違いありません。