前回は、人口減少が進む中で、医師だからできる競合物件と差別化をする方法について説明しました。今回は、「周辺エリアの医師の数」と「コンセプト」という土地選びの視点について見ていきます。

人口の少ない地方都市でも経営は成り立つ

たとえば、シングルマザーの多いエリアなら託児所を併設した「シングルマザー向けシェアハウス」や、高齢者が多い地域なら日帰りで利用できる「デイサービス付き高齢者住宅」といったものです。

 

このように医師ならではのコンセプトを明確に打ち出せれば、多少、人口の少ない地方都市でも十分に経営は成り立ちます。同時に、シングルマザーや高齢者が生き生きと生活できるといった地域の活性化にも役に立てるでしょう。

 

逆に、いくら都心に近くいい立地でも、コンセプトのない平凡な物件では、競合に埋もれて年月とともに入居者募集が困難になります。また、どんなに画期的なコンセプトでも、過疎地のような人がそもそも少ない土地はお勧めしません。一棟だけでの集客効果には限界があるからです。過疎地には、行政による町興しなど、大がかりな仕組みがないと人は集まらないものです。ある程度の人口規模があったうえでのコンセプト選びが重要です。

 

人口あたりの医師数が少ない国への進出も視野に入れる

「周辺エリアの医師の数」と「コンセプト」という土地選びの視点は、何も国内に限ったことではありません。

 

日本は、先進国のなかでは人口当たりの医師の数が少ないほうです。人口1000人当たりの医師の数は2.3人となっており、ドイツの3.9人やアメリカ合衆国の2.5人などと比較すると、まだまだ医師不足といえます。しかし、世界に目を向ければ、さらに医師数の少ない国はいくらでもあります。

 

たとえば、定年退職後の移住先として人気の高いマレーシアは1.2人、同じくアジア圏内で今後の成長が見込まれているタイは0.4人、インドネシアは0.2人、カンボジアは0.2人となっています。日本に比べても圧倒的に医師が少ない状況です(TheWorldBank「WorldDevelopmentIndicators2015」より)。

 

また、各国の在留邦人数は次のようになっていますが、これに対して日本人の医師は不足しているようです。

 

●マレーシア

邦人人口:約2万2000人(日本人医師1名程度)

注意点:日本の医師免許書換不可

 

●タイ

邦人人口:約6万4000人(日本人医師3名程度)

注意点:タイの医師免許が必要

 

●インドネシア

邦人人口:約1万7000人(日本人医師2名)

注意点:日本の医師免許書換不可

 

●カンボジア

邦人人口:約2200人(複数の日本人医師が常駐)

注意点:日本の医師免許の書換可能

 

※邦人人口については「海外在留邦人数調査統計」(2015年、外務省)より。日本人医師数と注意点については「東南アジア医療事情」(2012年、田中耕太郎氏レポート)、「平成25年度新興国マクロヘルスデータ規制・制度に関する調査」(経済産業省)を元に作成。

 

これらの国の一等地であれば、日常生活で困ることもないでしょう。海外で気ままにリゾートライフを送りながら、現地の日本人を対象とした開業も、タイのような国なら決して不可能ではありません。

 

 

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    本連載は、2016年4月27日刊行の書籍『資産家ドクター、貧困ドクター』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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