前回は、医師が不動産オーナーになることで差別化できる点などを説明しました。今回は、不動産運用の開始直後の「法人化」がお勧めできない理由を見ていきます。

「不動産運用の開始=同時に法人設立」ではない

ここで一つ理解しておきたいのが、「不動産運用の開始=同時に法人設立」ではないということです。ドクターに限らず不動産運用をはじめると、すぐに法人化をしたがるケースが多々見受けられます。まるで法人化ありきのようです。

 

事業を立ち上げたならば一国一城の主。法人を設立し、「代表取締役」となりたい気持ちは十分理解できます。しかし、資産形成という意味では、すぐに法人化せずにタイミングを見定めるべきです。

 

その主な理由は、以下の2つになります。

 

①法人は融資を受けにくい

 

最初の物件購入の前に法人化をしてしまうと、法人としての実績がないため融資の審査が通りにくくなります。法人化してから2~3年は黒字決算にしないとローンを通すのは難しいでしょう。

 

②給与所得と損益通算できなくなる

 

法人化すると収益に対する税金が所得税ではなく、法人税となるため給与所得と損益通算できなくなります。

 

黒字経営になったときが法人化のタイミング

では、いつ法人化するのか。それは収益が黒字化してからです。

 

不動産運用というものは、最初は収支がマイナスになりがちです。物件の購入時には、不動産取得税や登記代、火災保険料、リフォーム代など様々な経費がかかるためです。しかし、これらの経費は5年後に資産10億円を実現するための先行投資です。決して無駄金ではありません。

 

多くの不動産運用は、はじめてから2年ほどはマイナス決算になるものです。この期間を過ぎて黒字になれば、給与所得と合算した節税をできなくなります。このときが法人化のタイミングです。

 

とはいえ、あくまでケース・バイ・ケースなので、法人化後の節税は事業パートナーまたは会計士、税理士とよく相談するべきです。

 

 

本連載は、2016年4月27日刊行の書籍『資産家ドクター、貧困ドクター』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

資産家ドクター、貧困ドクター

資産家ドクター、貧困ドクター

大山 一也

幻冬舎メディアコンサルティング

いまや「医師=超富裕層」とは限らない時代。自分の資産は自分で守り、増やすことが当たり前になってきました。しかし、多忙な医師にはそんな時間を作ることさえ難しいのが実状です。 そこで本書は「手間をかけずに確実に儲か…

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