離婚を考える上で重要なポイントは3つ、同意があるか、お金のこと、子どもとのことです。離婚時、子どもの親権や養育費について頭を悩ませる方は少なくありません。しかし、離婚届に記入するのは、父と母のどちらが親権を得るかだけです。面会や養育費などは、いつ、どのように決めればよいのでしょうか。世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が解説します。

「親権」「監護権」の違いは何なのか?

現状の日本の法律では、夫婦間に未成年の子がいる場合、必ず夫婦の一方を「親権者」に定める必要があります。「共同親権」については、未だ日本は法律で認められていませんが、検討していく動きもあります。

 

まずは親権・監護権の違いを整理してみましょう。
 

【親権】
未成年の子どもを養育するとともに、その財産を管理し子どもの代理人として法律行為をする権利義務のこと。要は子どもの身の上に関することや子どもの財産をどのように使うかを決定する権利義務を指します。子ども名義の預貯金の解約や子どもを受取人とする生命保険金の受取などは、親権者でないとできません。

【監護権】
親権の中から「身上監護権(居所指定権・懲戒権・職業許可権など)」のみを取り出した権利義務のこと。いいかえれば、親が子どもの近くにいて実際に子どものお世話をする権利義務のことです。

 

親権者と監護権者は一致させることが一般的ですが、親権者が監護できない事情がある場合や、親権者でない方が監護権者として適当な場合は別々にすることもあります。

 

冒頭でも述べた通り、離婚時に離婚届に記入しなければならないのは「親権」だけで、監護権についてわざわざ記入の上で提出することはしません。

 

なお、離婚後の親権者の変更は、必ず家庭裁判所の調停・審判によって行う必要があります。離婚後親権を得た方が亡くなっても、当然に片方の配偶者に親権が戻るものではありません。この場合は別途親権者を定める家庭裁判所の手続が必要です。

 

また、親権を得たとしても、当然にその子が戸籍に入るわけではありません。子どもは、元の戸籍(多くの場合は夫)のままですので、離婚した親権者が母で旧姓に戻る場合、子どもを自分と同じ苗字に変えたければ、親権者として子の苗字を変える手続をとらないといけないのです。

「面会交流」のために親が決めておくべきこと

子どもを監護していない親が子どもに直接会ったり、それ以外の方法で交流することを「面会交流」といいます。まずは両方の親の話し合いによって、会う頻度や時間、など以下のことについて決めます。

 

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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