離婚を考える上で重要なポイントは3つ、同意があるか、お金のこと、子どもとのことです。離婚時、子どもの親権や養育費について頭を悩ませる方は少なくありません。しかし、離婚届に記入するのは、父と母のどちらが親権を得るかだけです。面会や養育費などは、いつ、どのように決めればよいのでしょうか。世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が解説します。

①面会の頻度(月1回、2回、週末など) 
②時間(2~3時間とする、1日とする、宿泊ありとする等) 
③場所 
④父母間の連絡方法

 

当事者間で取り決めることが難しい場合や、監護している親が応じない場合には、家庭裁判所で面会交流について調停をすることも可能です。調停でも決まらなければ最終的には家庭裁判所の判断に服する=「審判」を受けることになります。

 

ご相談者様から「月1回2時間が相場なんでしょう?」などと聞くこともあります。一部のインターネットサイトにそのような記載があるのかもしれませんが、家庭裁判所でそのような取り決めをする実例がありうるだけの話で、「月1回2時間」が相場というのは誤りです。離婚する二人、あるいはお子さんの事情によって、「毎週末」というご家庭もあれば、「数ヵ月に1回」というところまで、その内容はさまざまです。

 

面会交流については親権とは異なり、取り決めないと離婚できないというものでもありませんが、離婚後に話し合う機会を設けるのは難しいので、離婚する際に基本的なことを決めておく方がベターです。

面会は子どもの権利だが、会わせられない場合も…

家庭裁判所では、面会交流は「親の権利」でなく 「子の権利」 と考え、制限すべき理由がない限り面会させるべきという考え方が主流です。

 

面会交流=子どもの権利(画像はイメージです/PIXTA)
面会交流=子どもの権利(画像はイメージです/PIXTA)

 

ただ、以下のような事情がある場合には、たとえ家庭裁判所でも面会交流を制限する方向になることがあります。

 

①連れ去りの危険がある場合 
②子への虐待のおそれがある場合 
③監護親への暴力があった場合

 

これ以外に制限する必要がないのか、あらゆる場合に面会させることが「是」なのかは何とも言えず、難しい問題が多いのが現実です。 とはいえ、できるだけ会わせて子の成長を知ってもらうことが、その後の進学の費用など、普段会わない親にできる限りの経済的な協力を促す効果も持つことがあります。

第三者機関を利用すると、スムーズな面会交流が可能に

いくら「子どものため」とはいえ、やっとの思いで離婚した相手と、これからも親として関係性が続くことにためらう気持ちも理解できます。「別れた相手と直接会いたくない」「なるべく連絡を取りたくない」などといった理由から、面会交流をアレンジする第三者機関を利用する事例が増えています。

 

面会交流の際に、ご夫婦本人に代わって連絡をとったり、面会交流への付き添い、子どもの受け渡しを行ってくれる機関です。その都度、費用は発生しますが、葛藤を抱えている親にとっては心強い味方となることがあります。地方自治体や民間の機関があるので利用してみると負担が軽減されるでしょう。

 

また、最近では別れても二人で子育てをする「共同養育」という考え方が浸透してきています。以前なら離婚=ひとり親、シングル家庭、と言う選択肢しかありませんでしたが、離婚後「子どもの親」として二人で育てる、家族のあり方自体が多様化しています。

 

どういう結果であれ、子どもにとっては2人ともが親であることは変えることはできません。子どもたちのことを第一に考えて、話を整理し進めていく必要があります。

 

一つとして同じ離婚はありません。インターネットの情報に流されず、ぜひ一度ご自身の個別の事情を専門家にご相談ください。

 

 

水谷江利

世田谷用賀法律事務所弁護士

 

 

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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