M&Aイグジットが「イケてる」イメージに変わった
最後、4つめの理由は、すでにご紹介したように、M&Aイグジットや連続起業を成功させた「ロールモデル」となる若い世代の経営者が次々に生まれていることにより、イグジットや連続起業に対するイメージが大きく変化しているためです。
テスラ社のイーロン・マスク氏も含めて、ロールモデルとなる連続起業家の事例が広く知られるにつれて、M&Aイグジットがかつてのようなやや後ろめたいところのあるイメージから「イケてる」イメージへと変化してきたということです。
自分が得意な、あるいは好きな事業だけを行って、ある程度のところまで育てたらM&Aイグジットをしていいんだ、また、それが自分にとっても社会にとっても価値のあることなんだと気づく起業家が増えてきました。
そこで、日本においても若い世代の起業家には、最初から連続起業を志向する人、言い換えると、イグジットを視野に入れて起業する人が確実に増えているのです。イグジット経験は、起業家のブランド価値になるM&Aや連続起業に対する、社会的なニーズや意識の変化に応じて、M&Aイグジットに対する見方も変化しています。
以前は、起業家がM&Aで会社を売ったというと、「経営を諦めてギブアップしたのか」とか「自分が利益を得るために社員を見捨てたのか」という感じで、ネガティブにとらえられることがよくありました。これは、特に日本の文化において「継続」が価値として高く評価されていることも関係あるかもしれません。
「石の上にも三年」ということわざに表されているように、多少の困難は我慢して、一つのことを長く続けるのが良いことだという価値観です。

私たちは、老舗の企業とか店と聞くと、それだけでなにか優れたものだと思い、ブランド価値を感じます。実際、創業から100年以上続く老舗企業の数を国際比較すると、日本は約3万3000社と、2位の米国の約1万9000社に大きな差をつけて、ダントツに世界一です(日経BPコンサルティング調べ)。
これも、一つの物事を長く続けるのが良いことだという、日本の文化風土が背景にあるためでしょう。しかしよく考えてみれば、老舗だからといって、それが現時点でも優れていることを保証するかといえば、そうとは限らないことは明らかです。老舗というブランドの上にあぐらをかいて、サービスがおろそかになったり、コストパフォーマンスが悪くなったりする店舗を見かけることはよくあります。
そんな老舗よりも、今の時代にマッチした新しいプロダクトやサービスを提供する企業のほうが、より大きな価値を顧客に提供できるでしょう。M&Aイグジットについても、要はその内実が重要です。大資本の傘下で会社をより大きく成長させるため、あるいは、新たな起業による価値創造のためにイグジットをしたのであれば、それはポジティブにとらえられるべきです。
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