ヘッジファンドに関心はあるけれども、情報が少なく、二の足を踏んでいる人も多いでしょう。そこでヘッジファンドマネージャーの話から、ヘッジファンドの実態を明らかにしていきます。前回に続いて話を伺うのは、国内独立系ヘッジファンドのオリオール・アセット・マネジメント株式会社に所属する小野塚二也氏。常にプラスのリターンが求められるヘッジファンドは、コロナ禍で先行き不透明感が漂う株式市場でどのように対応しているのかを、今後の見通しを含めて解説します。

過度なウェイトを取らないことで、リスクをヘッジする

「投資しようと思っている企業のサービスを利用してみることが大切」だと言う。
「お客様の資産保全」を第一に考え、過度なリスクは敢えて取らない言う。

 

――先ほどのお話で、ショートしている銘柄まで業績に関係なく上がってしまうと、ファンドのパフォーマンスは悪化すると思うのですが、何か対策をしているのでしょうか?

 

私たちのファンドは、ある特定の銘柄、特にショートする銘柄について大きくウェイトを持つようなことはせず、ハイリスクになることは避けています。毎日のミーティングでどんなに自信のあるジャッジをしても、常に「全体のポジションのバランス」を意識しています。

 

たとえば、ある2社のオンラインゲームを当社のアナリストが毎日プレイしていたら、1社に匿名性や課金の点で問題があるのではないかと気付いたことがありました。

 

そして、自信を持ってロングショートのポジションを組んだのですが、このようなときは、ロングする銘柄に対して相対的に等ウェイトになるようなショートポジションを持つようにしています。問題があると分析した銘柄でさえ過度なウェイトを取ることはなく、あくまでも「全体のバランス」で判断しました。

「資産保全」を第一に考えながら、慎重かつ柔軟に運用

――過度なリスクを取らないということですが、もう少し具体的に教えていただけますか。

 

私たちは「お客様の資産保全」を第一に考えています。少し専門的な話になりますが、たとえば、他のロングオンリーファンドと同様に、100のキャッシュを目一杯運用するのであれば、ロング100・ショート100のポジションを保有して、エクスポージャー情報は200となります。

 

※金融資産のうち、価格変動リスクにさらされている比率のこと

 

しかし、私たちのファンドのエクスポージャーは100から120~130くらいを基本として、先ほどの200は最大値としています。つまり、現金を半分より少し多いくらいしか使わないということです。

 

相場のボラティリティが上昇局面にあるようなときや不確実性が高いようなときは、さらにエクスポージャーを落とす場合もあります。これが、一般的なロングオンリーファンドとの大きな違いかもしれません。ただし、エクスポージャーは相場状況に合わせて機動的に対応して運用しています。

 

一般的にヘッジファンドと聞くと、高いレバレッジをかけて、ハイリスク・ハイリターンを追求していると思われている方も多いと思います。そのため、なぜ預かった資金のすべてを使って運用しないのかと思う方もいるかもしれません。

 

しかし私たちは「資産保全」を第一としておりますので、たとえ相場全体が下落していたとしても、「絶対評価」といって、常にプラスのリターンをあげることが求められます。

 

ロングオンリーファンドはベンチマークとの「相対評価」となりますので、ベンチマークがマイナスとなれば、お客様の資産は減ってしまいます。しかし、私たちのファンドは「絶対評価」です。

 

低成長が続く日本においても相場環境に左右されない運用を実現するためには、資産を最大限増やし続けることももちろん重要ですが、預かった資産を減らさないような「資産保全」を第一に考える運用が最も大切であると考えております。

 

そのため、運用は慎重かつ柔軟にしつつも、高いパフォーマンスが実現できるようにディープリサーチを中心に据えながら、市場全体の動向にも目配せすることを心掛けています。

 

>>【第1回】のインタビュー記事を読む

>>【第2回】のインタビュー記事を読む

 

 

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インタビュアー/冨中 則文(幻冬舎アセットマネジメント)

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