ヘッジファンドに関心はあるけれども、情報が少なく、二の足を踏んでいる人も多いでしょう。そこでヘッジファンドマネージャーの話から、その実態を明らかにしていきます。前回に続いて話を伺うのは、国内ヘッジファンドの先駆けである株式会社GCIアセット・マネジメントの山内英貴氏。あえて「京都」で立ち上げたプロジェクトの狙いとは?

「システム運用」は、大学との共同研究の成果

株式会社GCIアセット・マネジメントの山内英貴代表取締役CEO
株式会社GCIアセット・マネジメントの山内英貴代表取締役CEO

 

――他のヘッジファンドにはない、御社のファンドの特徴を教えてください。

 

1つ目の特徴は、日本も含めたアジアのほとんどのヘッジファンドが、株の買いと売りを組み合わせて運用する「株式ロングショートファンド」であるのに対して、私たちのファンドは投資対象がグローバルで、株から債券、デリバティブまで幅広い資産を投資対象にしている点です。また、個別企業の財務分析や企業調査を行う「ボトムアップ」ではなく、「トップダウン」を基本としています。

 

2つ目の特徴は、投資の世界にはジョージ・ソロスなど、“カリスマ”と言われるような有名な運用者もたくさんいますが、私たちは、人間の判断(定性判断)をできるだけ排除して、システマティックに運用している点です。

 

「システム運用」と言うと、何か難しいことをブラックボックスのなかでやっているように思われる方もいるかもしれませんが、私たちの場合は、アカデミック(=学術的)な研究を大学などと協力してやっており、その研究成果を運用に応用しています。

 

あああ
人間の感情を排除した「システマティックな運用」を得意にしているという。

「京都ラボ」で、グローバルな運用開発者を育成する

――先ほどの「大学との研究を運用に活かす」について、詳しく教えていただけますか。

 

2007年から東京大学との共同研究や講義の実施など連携してきましたが、2017年にはグローバルに活躍できる運用開発者を育成することを目的として、京都のお寺を改装し、「京都ラボ」という一般社団法人を作りました。

 

ああああああああ
「京都ラボ」の内観(Copyright – exp| Atsushi Shiotani All Rights Reserved.)

 

京都ラボは次世代の資産運用モデルの開発と運用者育成を担うプロジェクトとしてスタートし、京都大学と共同研究を行うとともに、主に関西圏の学生に対する運用実務教育プログラムを提供しています。

 

私たちのシステマティックな運用を突き詰めていくうえで、この「大学との相乗効果」は非常に有益だと感じています。この効果を色々な大学や研究機関に広めていきたいと考えています。

 

 

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インタビュアー/冨中 則文(幻冬舎アセットマネジメント)

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