医学部専門予備校・TMPS医学館代表取締役の長澤潔志氏が、自らの経験談をもとに、「医学部受験に合格する子」「失敗する子」の特徴を解説します。

偏差値50前後の生徒に共通するいちばんの問題

そうでなければうまくいきません。偏差値50前後の人は2年必要だと言いました。それも、ただ教えてもダメです。先ほどと同じように、勉強する姿勢、習慣というものをつくっていかなくてはなりません。

 

そうしないと、すぐにふらふらとどこかに行ってしまうのがオチです。そこをなんとか話し合いながら、強制ではなく、矯正していくことが必要なのです。もちろん、簡単ではありません。机に縛り付けてみても、今度は寝てしまったり、スマホをいじりだしたりするだけだからです。

 

そこを、なだめすかして、まずは英単語に没入させていく。人によって、今日覚える数を決めます。毎日10個とか5個とか。それを1週間続けて、復習テストを行います。さらに1カ月続けて今度は1カ月復習テストを行います。これの繰り返しです。それを相手の様子を見ながら続けます。

 

彼らのいちばんの問題は、根気のなさです。我慢が利かない。机に縛り付けてもすぐに鉛筆が動かなくなる。集中力が続かない。しかし、そこはうまく誘導しながら、そうした習慣を身につけさせます。場合によっては許可をもらって、私やスタッフが、その子の家、部屋にまで行きます。

 

だいたい、そういう子の部屋は散らかり放題です。片付けができないのです。片付けができないと、一般的に時間の観念が損なわれます。すると遅刻も多くなる。そこは連鎖しています。だから、時には生活習慣から面倒を見て、改善していくことも必要なのです。

 

さらに必要であれば、やはり自分やスタッフの家に連れてきて、一緒に生活します。たとえば1週間、朝起こして予備校に登校するところから始めます。そこでも繰り返しの根気が必要になります。

 

習慣がつけば、家に戻します。そうした生活習慣がないと、勉強もできないものなのです。ただ勉強だけをやらせようとしても、本人はストレスを感じたり、糠(ぬか)に釘状態になったりしてしまうので、そこを何とか突破しようとするわけです。

 

本来は、そこまで面倒を見なければいけないのです。通り一遍の授業をしても、それは講師の、予備校の、そして親の自己満足に過ぎないということがあまりに多いと言えます。これに対して、もう少し成績のいいグループ、偏差値で言えば53から56くらい。それ以上はまた別です。

 

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本連載は、『医学部受験の闇とカネ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。なお本記事で紹介している内容は、著者の体験をもとに執筆しております。万一、本連載の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。

医学部受験の闇とカネ

医学部受験の闇とカネ

長澤 潔志

幻冬舎メディアコンサルティング

講師歴30年の医学部専門予備校代表の長澤潔志氏が、実体験をもとに、合格率を偽って、「授業料を挙げる予備校」、「コネとカネがなければ合格できない推薦枠を設ける大学」、「指導力不足で受験生を浪人に導く高校」など、さま…

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