六本木のマンション、建て替えの際に裁判沙汰に
このほか、このケースでは、建て替えの非同意者に対し、売り渡し訴訟を提起しなければならないという問題が発生した。六本木一丁目マンションは、地下鉄六本木一丁目駅から至近な上、建て替え時には容積率もアップできるという好条件であったが、そうした好条件でもデベロッパーの採算に合わなければ、全面的な協力を得ることが難しいという事例であった。
そうした場合には、自主建て替えを選択せざるを得ないが、その際、保留床については、通常は建て替え組合がリスクを引き受ける必要が生じる。最初から保留床を設けないのであればそうしたリスクは生じないが、保留床の売却益が期待できなくなる分、区分所有者の建築費負担が高まることになる。
このように、自主建て替えの場合、リスクを組合が引き受けるか、そうでなければ金銭的な負担を負うのでなければ、建て替えを進めることが難しい面がある。六本木一丁目マンションの場合は、たまたま伊藤氏がリスクを引き受けることで建て替えを進めることができたが、こうしたリスク負担者が現われることは通常期待できない。
六本木一丁目マンションの事例は、容積率のアップが難しかったり、容積率アップができても保留床がわずかしか発生しない場合には、デッロッパーが主体となって事業リスクを負担してマンション建て替えを進めることが難しいことを示している。
このような場合には、保留床のリスクを組合が負ったり、低い還元率を受け入れたりすることで、事業を進めなければならないという困難に直面することになる。また、この事例では、建て替え決議による建て替えの場合には、非同意者との裁判も覚悟しなければならないことも示している。
今後の建て替え可能性―マンション建て替えの現実
・容積率の割り増し制度を使った建て替え
現実には、容積率をアップして保留床を売却できるという条件が満たされ、デベロッパーが事業リスクを取るのでなければ、建て替えにはかなりの困難を伴う。そこで、そうした困難を少しでも除去するため、老朽化マンションを建て替えるにあたって、行政が容積率を緩和するという動きも現われている。
たとえば、東京都が2002年に創設した「共同住宅建替誘導型総合設計制度」では、敷地の共同化などで土地を有効利用する総合設計制度を活用することなどを条件に、容積率を現状から最大300%まで上乗せすることができる。
この制度を利用して建て替えられたマンションの第1号が、「神宮前センチュリーマンション」(渋谷区、建て替え後の名称は「ジェントルレア神宮前」)である。このマンションは1973年に建設されたものであるが、建て替えによって戸数が52戸から110戸(うち保留床は54戸)となった(2007年竣工)。
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