高齢化、人口減少…昨今、マンションを取り囲む状況は極めて厳しいものになっています。大阪経済法科大学経済学部教授の米山秀隆氏の書籍『限界マンション 次に来る空き家問題』(日本経済新聞出版社)より一部を抜粋・編集し、マンションの建て替えの問題点を解説していきます。

建て替えの非合理性…日本のマンションの課題

日本の場合、従前の区分所有権を引き継いで、マンションを建て替えようとすると多くの困難が生じる。建て替えを進めるため、5分の4の賛成を得られるようなプランを誰かが作成し、事業リスクを負担しつつ、場合によっては訴訟も抱えながら、建て替えの実務を進めていかなければならない。

 

デベロッパーの事業協力が得られなければ、これはすべて自力で行う必要がある。また、同じ場所に建て替えるため、保留床の分譲によって建て替え費用を賄おうとする場合、容積率を無理にでも引き上げなければならない。

 

これに対し、行政の側では、建て替えの円滑化を図るために、容積率の緩和など、政策的な対応を講じざるを得なくなっている。つまりは、日本では建て替えを行うために、区分所有者も行政もいくつもの難しい問題に直面しているのが現状となっている。

 

そもそも同じ場所に建て替えようとすること自体に無理があり、建物の寿命が尽きたら、個々に別のところに移り住むのはごく自然なことである。また、寿命が尽きたマンションは取り壊され、周辺街区とも併せ、その時代にあった適切な土地利用がなされるのがふさわしい。

 

マンションは主に都市に立地する建築物であるため、いったん建築されたマンションが、建て替えられながらも永久にそこにあり続けるというのは、都市における土地の有効利用という観点からは、不都合な場合もあるだろう。

 

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