「人生100年時代」といわれています。定年後の避けては通れない課題は「お金」で、3000万円不足するなどといわれていますが、実際のところはピンとこない人も多いことでしょう。この大問題をどう解決すればいいのでしょうか。この「リスク」をうまくクリアできれば、第二の人生をバラ色にすることがきるはず…。本連載は長尾義弘著『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

老後に必要なことは健康寿命をいかに伸ばすか

健康寿命と平均寿命の差をつめる

 

長寿には、ほかのリスクも潜んでいます。「健康寿命」という言葉をご存じでしょうか。

 

2016年の健康寿命は男性が72.14歳、女性が74.79歳となっています(厚生労働省:国民生活基礎調査)。これに対して、2016年の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳です。

 

健康寿命とは、病気や要介護状態にならず、日常生活を送れる期間を指します。平均寿命と健康寿命の差は、男性が約9年、女性が約12年です。晩年の10年前後は、なんらかの制約を受けている人が多いといえます。

 

自分の健康寿命をいかに長くするかということも、老後にとっては大事です。

 

病気になると、医療費や介護費用がかかってきます。とくに、介護は長期間におよぶ場合があり、先行きの見通しは難しいものです。それに、なんといっても健康でなければ、人生が楽しくありません。

 

そのためにも、生活習慣の改善を心がけましょう。栄養バランスのとれた食事、禁煙、減酒、適度な運動……日々の小さな積み重ねで、健康寿命を延ばすことができます。


 
85歳の人が「これからの老後が心配で」などと口にすると笑い話のようですが、老後は自分が意識したときから始まります。いくつになっても「まだまだ老後は先」といえるくらい、心身ともに元気でいたいですね。

 

他人事と思ってはいけない認知症

 

また、老後に関わる問題として認知症もあげられます。

 

厚生労働省の発表では、2012年の時点で認知症の患者は約462万人。65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症という状況です。患者は増加傾向にあり、2025年には約700万人に増えると予測されています。高齢者の5人に1人が発症する計算です(厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」)。

 

このほか、認知症と健常との中間、いわゆるグレーゾーンに位置する人が約400万人います。国民病とも呼べる認知症は、もはや他人事ではありません。

 

認知症の50%は、アルツハイマー型認知症です。20%がレビー小体型認知症、15%が脳血管性認知症で、その他の認知症が15 %となっています。

 

最も多いアルツハイマー型認知症は、早期発見・早期治療がその後の進行を遅らせるとわかってきました。完全に治すことは現時点ではかないませんが、ペースダウンによって健康でいられる時間を延ばせるのです。

 

早期に発見すれば、病変のひろがりを薬で遅らせることができ、ひいては入院期間の短縮につながります。これは本人にとっても家族にとってもメリットがあります。というのも、認知症は費用負担が大きいからです。

 

 

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