家族の無償ケアを料金換算すると年間382万円
厚生労働省と慶応義塾大学の研究班が、認知症の社会的費用を推計しています。年間にかかる社会的コストは医療費が1.9兆円、介護費が0.4兆円、インフォーマルケアコストが6.2兆円となっています。この数字を個人に置き換えてみます。
・1人当たりの入院医療費…月額34万4000円
・1人当たりの通院医療費…月額3万9600円
実際は高額療養費制度があるので、70歳以上なら入院しても月に6万円くらいとなります(ただし、自己負担の割合は年収によって異なります)。
通院も70歳以上は自己負担が2割ですから、8000円程度ですむと思います。年間の自己負担は10万円くらいです。
介護サービスについては、
・在宅介護の場合…1人当たり年間219万円
・施設介護の場合…1人当たり年間353万円
要介護の段階によって、受けられるサービスが変わってきます。
ここで問題となるのが「インフォーマルケアコスト」です。これは家族などが無償でおこなうケアを指します。調査では、つぎのような結果が出ました。
・要介護者1人当たりインフォーマルケア時間…週に24.97時間
・要介護者1人当たりインフォーマルケアコスト…年間382万円
このように、認知症の高齢者を抱えた家族は、多大な時間とコストの負担を強いられるのです。
認知症の有無は、簡易テストなどで比較的にたやすく検査できます。早期発見には最も有効とされる方法です。ぜひ確認をしてみてください。
長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー
AFP
日本年金学会会員