●補助金の対象品目は、4月からの購入で大丈夫
補助金の対象となるものは4月に入ってから購入すればよいと思います。4月に入ってから購入といっても、4月に入ってから探すのではなく、取引のある事務機器業者がいるのであれば、早い段階から相談しておきましょう。これにより、4月1日発注、4月1日納品が可能になります。
とはいえ、実際には1日にすべてがそろっている必要はありません。なぜなら、開業は4月1日でも、開園は必ずしも4月1日とは限らないからです。多くの保育園がそうであるように「入園式」は1日ではありません。4月1日付けで正社員は出勤してきますが、保育園として営業しない日数があるのです。消耗品を含め、この時期に発注、納品しても開園までには十分に間に合います。
私たちの保育園では、消耗品はソロエルアリーナやAmazonを利用しています。ネット通販の利点は、購入品リストを事前に作成できることです。私たちの保育園では、通常の備品購入リストのほかに新規開園用のリストがあるので、いちいち探して購入する必要もありません。
保育用品で高額なものは散歩用の大型ベビーカートくらいです。6~8人乗りがよいと思います。幼稚園や保育園くらいしか用途がないので、発注から納品まで時間がかかる場合があります。
●備品となる「冷蔵庫」「洗濯機」選びには注意点あり
開業時の高額な備品はほとんどが電化製品です。そのなかでポイントになるのは、冷蔵庫と洗濯機です。
冷蔵庫は、家庭用で構いませんが、冷凍スペースが大きいのを選ぶのがいいでしょう。食中毒が発生したときに調査が入るので、保育所で提供した給食は、一定期間、冷凍保存しておかなければなりません。
本当に少しずつではありますが、提供する給食のすべてをパッキングして保存しておく必要があるので冷凍スペースが広めの冷蔵庫がいいのです。
洗濯機は、ドラム式ではなく縦型にしましょう。保育園では常に園児に目が届いているとはいえ、閉じこもり事故が起こらないとは限りません。
乾燥機は、食洗器のように大型ではなく食器乾燥機が必要です。これは保育所の食品管理マニュアルに、食器を消毒しなければならないと明記されているからです。いわゆる自然乾燥では認められません。小さなものでもいいのですが、乾燥機を利用して殺菌が必要です。
また、調味料も使う分量をしっかり計測することが必要です。家庭料理では目分量で調味料を使っているかもしれませんが、保育所ではすべてをスケールで計って利用しなければなりません。そのために計量器も必要です。
計量器と同じ感覚で間違えてしまうのが体重計です。私たちの保育園も普通の体重計を使用していたら監査で指摘されて再度購入しました。幼稚園、保育園、学校などで行う身体測定の記録は「証明」のあるはかりを使用しなければいけません。「証明」とは、公に、または業務上他人に一定の事実が真実である旨を表明することをいいます。
したがって、ホームセンターで販売している「家庭用計量器マーク」がついた体重計を使用することはできません。「検定証印」の付いているものを購入してください。
身長計も必要です。最近は非接触でレーザー計測できるものがありますが、未満児保育で預かる子どもには、まだ自分で立てない子どももいます。その子どものためには寝た状態で計測できるものを用意しなければなりません。つまり、身長計は2種類必要なのです。
体温計も2種類必要です。新型コロナウイルス感染症の影響により非接触型電子体温計をよく見かけますが、現場の職員の信頼度が低いので、従来の接触型の体温計も準備しておきます。
そのほかの備品については、基準に基づいて園長候補になる方と相談しながら決めてください。ただし、その園長候補の方の考えに偏らないように注意しましょう。私たちの保育園でも、初めての保育園の園長がミシンが欲しいというのでミシンを購入しましたが、ほとんど使用されることもなく倉庫で眠っています。一方で、電子ピアノは不要とのことで購入しませんでしたが、現在はすべての園にあります。
河村 憲良
株式会社Five Boxes 代表取締役
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