保育園の開園申請からオープンまでの流れとは?
小規模保育所をオープンさせるまでの流れとして、半年前、3ヵ月前、1ヵ月前を区切りとした、合計7つのステップを紹介していきます。ここでは、オープン半年前から3ヵ月前までの、4つのステップを取り上げます。
【オープン半年前】
ステップ1 自治体の窓口でヒアリング
ステップ2 保育所の場所を確保する
ステップ3 登録保育士を手配する
ステップ4 申請する
【オープン3ヵ月前】
ステップ5 保育士を募集・採用
【オープン1ヵ月前】
ステップ6 認可が下りる、開園準備
ステップ7 オープン、最初は半日保育で態勢を整える
ステップ1:開園半年前、自治体窓口へ相談しておく
小規模保育所を開園する際には、遅くとも半年前に自治体に相談をすることになります。それ以前から打診してやりとりをするのが一般的ですが、正式にオープンの相談をするのは半年前です。このときにはまずヒアリングという形で「オープンしたいのですが、どうでしょうか」と打診をします。
筆者の会社では2021年4月のオープンに向けて、2つの自治体で打診しました。そのうち1カ所は「待っていました」という歓迎の反応でしたが、もう1カ所は「計画に基づきます」との答えでした。これは都市部でありがちなものですが、厄介な反応です。
●認可保育園のオープンには、本来2~3年の準備が必要だが…
「計画に基づく」とは、認可保育所の難しいところでもあります。本来、認可保育所を開園する際には半年ではなく、2年、3年前から準備をする必要があります。なぜなら認可保育所の場合、企業主導型も同様ですが、建築費用の4分の3を公的資金で賄ってくれます。4分の2を国が、4分の1を都道府県が負担するのです。
ただ、申請窓口は市区町村の役場なので、申請があった場合、市区町村の担当職員は国や都道府県に4分の3の費用を請求しなければなりません。役所は年度が始まる前に予算を組んで事業を行います。保育所が大幅に不足している場合には、年度の途中でも補正予算を組んで対応してくれますが、そうではない自治体では次年度予算での対応になります。
その場合には、開園できるのが1年半後くらいになるのです。これは窓口の担当者にもよります。熱心でない担当者の場合には、補正予算で自分の仕事が増えるのがいやなので、次年度の予算になることもあります。
この点で、意外に思われるかもしれませんが、筆者の提案する小規模保育所の申請は都市部よりも郊外や地方のほうが有利だと思います。
もし都市部で保育ビジネスを考えるのであれば、企業主導型保育事業の採択の可能性がまだありますので、そちらを検討されるか、認可外保育施設で開園するほうがよいかもしれません。
●都市部と地方それぞれの保育園開園事情…なぜ地方は歓迎される?
都市部は保育所不足が課題になっているので、すでに認可保育所を新設する分の予算が確保されています。そのため事業者は公募型が一般的です。つまり、期間を決めて保育所を開園したい人を集め、審査をするのです。
公募の場合は応募資格があります。例えば名古屋市の場合は、次のいずれかを運営している者が対象です。
(イ)地域型保育事業(小規模保育事業、事業所内保育事業、家庭的保育事業)
(ウ)地方自治体に児童福祉法に基づく届出をしている認可外保育施設のうち、1日4時間以上、週5日以上、6人以上の乳幼児の保育が可能であり、その保育施設業務経験が6ヵ月以上のもの
(エ)本市の病児・病後児デイケア事業
これから保育ビジネスに参入する企業の可能性としては(ウ)で、とりあえず、認可外保育施設で開業し、そのあと、その施設を改めて認可保育所として応募し、認可してもらうことですが、現実的ではありません。
一方で地方はというと、そもそも、保育園を増やすという計画すらない自治体がたくさんあります。最近、公立保育園の民営化が進んでいますが、公募をしても手を挙げてくれる事業者がいないこともあります。
そのため、相談があって初めて保育園を増やすかどうかの検討が始まるのです。そして、地方ほど公立保育園での保育士の採用で苦労しており、ニーズがあっても未満児保育を増やすことができないので、意外なほど歓迎されます。
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