少子化は進展しつつも、共働き世帯が主流となったことで「保育園」へのニーズは依然として高い日本。保育園ビジネスには、多角化経営を狙う一般企業が参入するチャンスが十分存在します。企業主導型保育事業には確かにハードルがありますが、乗り越える方法があります。具体的に見ていきましょう。

企業がビジネスにするなら「小規模認可保育園」一択

起業主導型保育事業には、多くのハードルがあります。では、どのような形で保育園ビジネスに参入するのがいいのでしょうか。筆者がお勧めするのは、小規模認可保育園です。認可保育所の場合は、自治体から子どもの受け入れ要請がありますので、自ら子どもを集める必要はありません。企業主導型保育園で失敗する最大の原因だった集客を、自治体に任せることができるのです。

 

また、小規模保育事業の場合は、企業主導型保育事業のように不採択になって資金が無駄になることもありません。建前上はどちらも申請書類をもって審議するわけですが、市町村の職員はそんな冷たい対応はとりません。

 

それこそ「小規模保育事業の開園を企画したいんですが……」という窓口レベルの相談でも丁寧に対応していただけます。そのときに可能性がなければ「難しい」と言われますし、可能性があれば「審査を受けての判断ですね」となります。行政職員も忙しいわけですから、可能性がないのに申請書類をチェックするなんて無駄な業務はしたくないでしょう。

 

そのうえで面談をして、事前協議書を提出します。これは「公式に相談をします」という書類です。このように段階を踏んで相談しながら進めていきますので、申請書類を出せるところまできたら、そこから不採択というのは、運営事業者がなんらかの不正行為をしない限り可能性は低いでしょう。もちろん、建前上は申請書類審査を受け指定を受けるまではなにも決定ではありませんが、申請書類を提出するところまでたどり着いたらあとは自治体と二人三脚で進めていく印象です。

 

ただ、自治体が「認可」をするということは、そこに監督責任が発生するわけですから、どんな企業でも申請すれば受かるという印象はありません。

 

ですから、まったく関係のない業種がいきなり自治体に「保育園をオープンしたい」と言っても難しいと思います。筆者の場合は、まだ、企業主導型保育事業の参入が緩かったころに企業主導型保育園の運営を始めましたから、認可保育所としては初申請であっても、保育園を運営している事業者として扱ってもらえました。

 

保育事業とはまったく縁のない企業が参入するには、運営を保育事業者に委託する方法もあります。保育所の運営を受託している事業者は昔から存在します。院内保育園を持っている病院も事業者に運営を委託しているケースが多くあります。委託先を決めて、自治体と相談する方法もあります。

「子どもを預かる施設」には3種類ある

そもそも子どもを預かる施設には3つの種類があります。幼稚園、保育所、認定こども園です。主な違いは対象年齢と利用できる保護者の条件です。

 

幼稚園は3歳から5歳を対象とした施設で、昼過ぎごろまで預かり、子どもの教育時間とします。また、園により午後や土曜日、夏休みなどの長期休業中の預かり保育などを実施しています。利用できる保護者の制限はありません。

 

保育所は0歳から5歳を対象とした施設です。朝から夕方までの保育のほか、園により延長保育を実施しています。就労などのため家庭で保育のできない保護者に代わって保育する施設なので、利用できるのは、家庭で保育のできない保護者に限定されています。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

認定こども園は、教育・保育を一体的に行う施設で、幼稚園と保育所の両方の機能を併せ持っている施設です。0歳から5歳が対象ですが、0歳から2歳と3歳から5歳で内容が異なります。0歳から2歳では、夕方までの保育のほか、園により延長保育を実施しています。

 

3歳から5歳は昼過ぎごろまでの教育時間に加え、保育を必要とする場合は夕方までの保育を実施しています。利用できる保護者についても、0歳から2歳は共働き世帯、親族の介護などの事情で、家庭で保育のできない保護者、3歳から5歳は制限なしとなっています。

 

出典:内閣府子ども・子育て本部
[図表1]子どもを預かる施設の種類 出典:内閣府子ども・子育て本部

 

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安定収益と社会貢献を両立する小規模保育園経営

安定収益と社会貢献を両立する小規模保育園経営

河村 憲良

幻冬舎MC

保育園経営は企業の参入が難しいと思われがちだが、実際はそうではなく安定収益をもたらし、社会貢献もできるビジネスである。 なかでも小規模保育園なら、保育園業界に山積する問題を一挙に解決。 本書では開業の流れか…

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