えっ、親と施設で同居?…子どもは仕事に通う新しい暮らし方が

ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

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高齢者は施設での生活を受け入れていく

施設入居のスケジュールを把握する

 

お金に問題がない家庭の場合、選択の幅が広く思い立ったら入居がしやすい施設に介護付き有料老人ホームがあります。それでも入居までの期間は約2か月、急いで1か月を目途にしてください。手続きは、見学、仮予約から入居申し込み、本人面談、受け入れ審査となります。健康診断書も必要となります。

 

入居を急ぐ場合は、複数の工程を同時に進めていくので、初めてのときはひとりでは難しいかもしれません。その場合、施設探しを無料で相談にのってくれる会社もあるので相談してみましょう。特別養護老人ホームは入居調整を年2回行っており、前期、後期の日程ごとに申し込み期間が決まっているので、注意してください。

 

「仕方なく」で入居した施設生活を高齢者は時間の経過ともに受け入れていくという。(※写真はイメージです/PIXTA)
「仕方なく」で入居した施設生活を高齢者は時間の経過ともに受け入れていくという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

施設での生活を受け入れていく高齢者たち

 

私はボランティアで介護相談員として活動していますが、入居している方にお話を聞くと、「住み慣れたとはいえ自宅で心細く暮らすより、ここにいて必ず誰かがいる状況は、安心でもある」と多くの方が話しています。自分から希望して施設に入居する人は少なく「仕方なく」「子どもに迷惑はかけたくない」というケースでの入居が多いのですが、時間の経過により受け入れに変化していくようなのです。

 

現在80歳代以上で特に女性は、義父母を自宅で自分が介護をしていたという人も多くいます。そんな方にとっては、施設は一種の姥捨て山の印象があったのかもしれません。ですが、今の施設は日々の食事やレクリエーションに工夫をして、楽しく生きることを応援しているところも沢山あります。

 

施設の種類

 

施設の種類は非常に多く、判断に困惑するかもしれません。公的施設は、介護保険施設とも呼ばれ、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設(令和5年度末廃止)、介護医療院がそれに当たります。これらの施設は要介護以上の認定が必要で、所得による軽減措置もあり比較的低コストで入居ができますが、皆が入居したいと思っているため、入居まで時間がかかる場合があります。

 

それ以外は、民間施設の位置づけで、各施設に特徴があり、自立の方も受け入れています。サービス付き高齢者向け住宅という60歳以上であれば、元気な方、要介護状態にある方も入居できる賃貸住宅もあります。有料老人ホームには自立して生活できる人も暮らしていて、ここから仕事に通っているという場合もあるのです。

 

極端かもしれませんが親と一緒に有料老人ホームに入居して、子は日中仕事に通い、親はそのまま施設で介護を受けるという方法もとれるわけです。今までは想定されなかった暮らし方も選べる時代になってきました。

 

メリットとデメリット

 

お金がなければ介護付き有料老人ホームは難しいし、特別養護老人ホームに入りたくても運・不運があり、ここに入りたいと思った施設があっても空きがなければ入れません。あまり理想を追わず、入居できた施設とは縁があったと受け入れることも大切です。

 

施設のメリットは、他者との交流ができること、家族の負担が減ること。デメリットは、金銭的負担が増えること、自分に合った施設に入居できるとは限らないこと、集団生活が苦手な人にはストレスになることなどがあげられます。

 

 

「在宅介護エキスパート協会」代表

1964 年、静岡市生まれ、川崎市育ち。NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。
2人の子どもに恵まれるも、両親が同時期に脳血管障害、認知症、骨折、肺炎で入退院を繰り返す。長年にわたり仕事、子育て、介護(遠距離介護4年・在宅介護8年)の「トリプルワーク」を経験。仕事をしながらの育児、介護にストレスが極限にまで達し、介護疲れを起こす。書籍や情報サイトなどを頼るも、「介護の常識」は、仕事や育児との両立をしている人にとっては、全てこなすことなど到底できない理想論であることを痛感する。その後、「自分でもできる介護」を自力で確立することを決意。アイデア発想講師としての知識を生かし、それまでの「完璧な介護」から「自滅せず親も家族も幸せになる介護」へと発想の視点を変え、現代人のための介護思考法を独自に研究する。

著者紹介

連載親の入院、介護ですぐやること、考えること、お金のこと

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

渋澤 和世

プレジデント社

高齢化が進む日本では現在、介護ストレスによる介護疲れが大きな問題だ。そこで本書では、仕事や育児との両立を前提に、「完璧な介護」ではなく「頑張りすぎない介護」を提案する。 正社員としてフルタイムで働きながら、10年…

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