米国の代表的な株価指数であるNYダウは、コロナ禍にもかかわらず2021年5月10日に35,000ドルを一時突破しました。今回は、過去の値動きの推移による経験則から、現在の株価の位置について考察します。※本連載は、菊地正俊氏の著書『No.1ストラテジストが教える 米国株投資の儲け方と発想法』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本の「IT投資」が米国と比べて遅れている理由

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

現在はAIやIoTなどの発展を背景とする第4次産業革命が進行中といわれます。

 

IT投資については、2016年までの10年間に米国のIT投資が実質50%以上伸びたのに対して、日本のIT投資は7%しか伸びませんでした(【図表1】)。

 

【図表1】日米のIT投資の推移

 

IT投資の規模が大きいと、それを提供するための様々なテクノロジー企業が育ちます。日本のIT投資の遅れはコロナ禍での現金給付の手間取りなどで明らかになったため、2020年9月に誕生した菅政権は、デジタル化の推進を政策の優先事項に挙げました。

 

その背景には、米国では従業員の解雇をしやすいので、人をIT機器で代替するのが容易である一方、日本は正社員の解雇がむずかしいので、従業員をIT機器で代替するのに時間を要するという面があります。

 

また、米国企業にはIT投資をする企業側にも最先端のIT技術を理解したエンジニアが多くいる一方、日本ではITのエキスパートはIT企業側に多く、受入企業側に少ないので、SIベンダーの言うがままのIT投資をしてしまい、それがレガシーとして残って新陳代謝を阻害するといったことがあります。

 

2020年4月に三菱UFJフィナンシャルグループで東大理系修士の亀澤宏規社長が誕生し、メガバンク初の理系トップとして話題になりましたが、米国大手テクノロジー企業ではエンジニアとファイナンスのダブル修士号を持ったCEOが相次いで誕生しています。

 

マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、ウィスコンシン大学の情報科学の修士と、シカゴ大学のMBAを持っています。アルファベットのサンダー・ピチャイCEOも、スタンフォード大学のエンジニアリングの修士とペンシルバニア大学のMBAを持っています。

 

日本企業の社長には営業や工場の現場出身者が多いですが、急速にテクノロジーが進展する現在はサイエンスまたはエンジニアリングと、ファイナンスの高度な知識が必要になったといえます。ナデラCEO(53歳)とピチャイCEO(48歳)はともにインド人ですが、日本の大企業の社長に、若いインド人が就くことが想像できるでしょうか?

 

IT投資の差の結果、2018年までの10年間の生産性の年平均伸び率は米国が0.9%と、日本の0.6%を大きく上回りました。日本の賃金伸び率が小さいのは、生産性も低いからだと長年いわれてきました。

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

注目のセミナー情報

​​【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』

 

【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!

次ページ米国株は「10~20年の長期サイクル」で上昇

※本文書は貴社の責任と判断で利用いただくものであり、弊社は、貴社又は第三者が本文書に基づいて行われた検討、判断、意思決定及びその結果について法律構成・請求原因の如何を問わず一切の責任を負わないものとします。

No.1ストラテジストが教える米国株投資の儲け方と発想法

No.1ストラテジストが教える米国株投資の儲け方と発想法

菊地 正俊

日本実業出版社

絶好調の米国株市場には、Amazon、グーグルなど日本人もよく知るハイテク企業に加えて、ビデオ会議システムのZoomなどの急成長企業の存在があります。 そうした「日本株より面白くて儲けやすい」米国株投資に関する解説書の決…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録