米国企業(S&P500のうち売上が1兆円以上の企業276社)のCEOの報酬の中央値は16.2億円にもおよび、日本の大企業の1.3億円と比較して約12倍の額です。この違いはどこからくるのでしょうか? 今回は、日米企業の「役員報酬」の違いについて見ていきます。※本連載は、菊地正俊氏の著書『No.1ストラテジストが教える 米国株投資の儲け方と発想法』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

米国企業のCEO報酬は91%が「インセンティブ」

(※写真はイメージです/PIXTA)
米国大企業のCEOの報酬額は?(※写真はイメージです/PIXTA)

 

デロイトトーマツの調査によると、2019年に米国企業(S&P500のうち売上が1兆円以上の企業276社)のCEO報酬の中央値は前年比3%増の16.2億円でした。内訳は70%が中長期インセンティブ、21%が短期インセンティブ、9%が固定報酬でした。

 

一方、日本企業(TOPIX100のうち売上が1兆円以上の22社)のCEO報酬の中央値は前年比3%減の1.3億円でした。この結果、日米CEOの報酬格差は前年の11倍から12倍に拡大しました。

 

日本企業のCEO報酬の内訳は57%が固定報酬と固定比率が高く、短期インセンティブは28%、中長期インセンティブが15%に過ぎませんでした。なお、ドイツのCEO報酬の中央値は6.9億円、英国のCEO報酬の中央値は5億円と、日米の役員報酬の中間でした。

 

米国では高い株式リターンを出してくれれば、それに見合った役員報酬が受け入れられるとの見方が多い一方、日本では社長は従業員の代表的存在なので、高い給料を取らない傾向があります。

 

たとえば、グーグルの親会社であるアルファベットのサンダー・ピチャイCEO(48歳、インド人)の2019年の総報酬は2.8億ドル(約300億円)で、そのほとんどがストックオプションでした。業績を急拡大させたので、十分正当化できると見られています(【図表1】)。

 

[図表1]米国大手企業の役員報酬

 

サンダー・ピチャイ氏が2015年8月にグーグルのCEOになったとき、売上は900億ドル、純利益は190億ドルでしたが、2019年12月にピチャイ氏がアルファベットのCEOになると、売上は1600億ドル、純利益は340億ドルになり、アルファベットの時価総額は4年前比で約2倍に増えました。

 

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