米国株は「10~20年の長期サイクル」で上昇
米国株は長期的に見ると、経済のパラダイムシフトを背景に、10~20年の長期的なサイクルがあります(【図表2】)。
戦前は1929年の大恐慌前の急騰と急落がありましたが、長い目でみれば、ニューヨークダウは100ドル前後の推移でした。国際情勢の緊張、インフレ、経済政策の不整備などが長期的な株価停滞の背景でした。
ニューヨークダウが大恐慌前の高値を抜くには1954年までかかりましたが、戦後復興や海外経済の成長などを背景に、ニューヨークダウは大きな上昇局面に入りました。1942年に100ドル台だったニューヨークダウは、1966年に約10倍の1000ドルまで上昇しました。
しかし、1966〜1982年にニューヨークダウは10年以上にわたって、1000ドル前後で推移しました。株価が停滞した最大の要因は、インフレ高進によりPERが押し下げられたことでした。
労使関係も協調から対立へ変化しました。S&P500ベースで1957〜1981年にEPSは約3倍に増えましたが、PERは18倍から8倍弱へ低下しました。米国では外的なサプライショックを除けば、株価が下落するのはインフレ→金融引締め→景気後退という局面が多くなっています。
米国は1965年ベトナムに介入したうえ、社会福祉を充実させるという「大砲もバターも」の政策を推進したため、財政赤字が拡大しました。1973年の石油危機はエネルギー集約的な米国の生産方式の優位性を大きく揺るがし、スタグフレーションが起きました。
1962年の鉄鋼の貿易収支赤字化、1968年の自動車の貿易収支赤字化に続き、1971年には約100年ぶりに貿易収支全体も赤字に転落し、「パックス・アメリカーナの終焉」といわれました。1975年のサイゴン陥落は米国の対外的威信を大きく傷つけ、経済状況の悪化と相まって、社会的な閉塞感が広がりました。
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