日曜日、「100円玉を10枚息子に見せて」放った言葉
子どもの探求心を刺激するためには「ちょっと不自由な外出」がおすすめです。例えば、いつもは電車で行く場所に、徒歩や自転車で行ってみると、これまで気づかなかった発見があります。
東京に住む知人が、娘と二人で数駅先まで歩くチャレンジをしてみたところ、都会なのに山羊を飼っている家があったり、「タヌキに注意」なんていう看板があって、子どもより親のほうが驚いたと話していました。
車では通れない細い道を通り、渡ったことのない小さな橋を渡り、水鳥も発見しました。山羊やタヌキって何を食べるんだろう。どうやって寝るのかな。タヌキって家族で生活しているのかな……。
そんな話を子どもとしながら歩いていたら、あっという間に1時間半歩き続けていたそうです。自宅に戻ってからも、父娘のタヌキに対するあくなき追究は続き、別の日にはタヌキのいるミニ動物園へ出かけて行きました。子どもは幼稚園の作品展でもタヌキを粘土でつくり、そのリアルな雰囲気に父親はたいへん感心したと語っています。
別の父親は、日曜日に100円玉を10枚息子に見せ「今日一日、これだけで楽しもう。どこに行く?」と提案したそうです。
すると、子どもはまず母親に「100円で何が買えるか」をリサーチしました。おにぎりやペットボトルのお茶も100円では足りない可能性があることを知り、子どもは2つの水筒に麦茶を入れ、母親に断りをいれてから保存容器に二人分の白米を詰め、ふりかけをかけました。そして父親に「準備OK」と合図してきました。
二人は、お金をかけずに遊ぶためにバスのフリーパスを使って移動することにしました。子どもは幼児なので無料。この情報は子どもが母親と出かけたときに教えてもらっていたのだそうです。
向かったのは森林公園。無料のアスレチックと巨大迷路にチャレンジして、虫を見つけて写真を撮り、丘の上でふりかけご飯を食べました。
バスで移動して、入館料無料の美術館でトリックアートを鑑賞。さらに移動して、本日唯一の贅沢、出来立てのパンが食べられるパン工房へ行きました。使ったお金はバス代520円と、パンが2個で400円。1000円でおつりがきました。
バスの中ではお年寄りに席を譲り、公園の丘の上では転んで膝を擦りむきましたが、泣くこともなく水道水で洗ったあとは痛いとも言わなかったそうです。たった一日の冒険旅行。
帰宅した二人に「どうだった?」と母親は聞きましたが「まぁまぁかな」と生意気な口をきいて詳しい話は教えてくれなかったそうです。
こうした冒険は、母親より父親のほうが得意なのかもしれません。母親は「危険」に対してのアンテナを鋭く張っていますから、安全な道を優先してしまうところがあるのです。父親と子どもの外出は、子どもにとって「いつもの環境」とはかけ離れたものになります。
お金をかけて遠くに連れて行かなくても、父親としての役割は果たせます。また、こうした父親の振る舞いを、母親が非難せず、すべてを父親に任せるスタンスも大切です。両親が協力し合うところと、男女それぞれの接し方を活かす部分。そのメリハリが子どもには良い刺激となるはずです。
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