小さなころの「体験」が職業選択の幅を広げるワケ
以前、小学校で豚の飼育を児童が行い、その豚を出荷するかどうかを議論させる学習がありました。テレビで特集され、映画にもなったのでご存じの方もいるでしょう。
是か非かをここで論じるつもりはありませんが、人が生きていくために必要な「食」に関して能動的に関わるという意味では、たいへん貴重なものであったと思います。あそこまでの体験はなかなかできませんが、家庭の中でも「食」への興味が多角的になるよう工夫をしてほしいと思います。
職業一つをとっても、「食」に関わることは多岐にわたります。農業、畜産業はもちろん、市場や食材を売る店舗、食品加工、調理、配膳、物流、調理器具、エネルギーなど、ありとあらゆる経済活動と関連しています。
ですから、自分が食べている食事がどのようにして自分のところまでたどり着いたかを知ることは、将来の仕事を考えるうえでもたいへん貴重な経験になります。就学前の子どもにそこまでさせる必要はないと思われるかもしれませんが、年齢が上がってしまうと「学習」「勉強」としてとらえるようになって、興味の幅が狭くなってしまいます。
牧場見学、工場見学などは、幼いうちから何度も体験させるのがおすすめです。体験後は自宅での食事の際に「この牛乳、何のお乳だろう」「レタスって、木に成るんだっけ?」などと質問してみてください。忘れてしまっていても構いません。
「牧場で見たじゃない」「忘れちゃったの?」などと責めるような返しはせず、「あれ、ママも忘れちゃった。写真を見たら思い出しそうだね」と、一緒に思い出を振り返ってほしいのです。
そのためにも写真をスマホに撮り溜めしておくだけでなく、プリントしたものを壁に貼ったり、アルバムにまとめておくようにしましょう。そして「牧場で食べたアイスおいしかったね。そういえばアイスって何からできたんだっけ?」と、聞いてあげてください。
写真を見て思い出した子どもは、「牛のお乳だよ!」と、自慢げに言ってくるでしょう。「そうだったね!」と、褒めてもらえると、「ヨーグルトも生クリームもね!」と覚えていることを披露してくれるはずです。こうした親とのポジティブな関わりがあってこそ、子どもは「知識を持つことの楽しさ」を覚えていくのです。
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