「人生100年時代」といわれています。定年後の避けては通れない課題は「お金」で、3000万円不足するなどといわれていますが、実際のところはピンとこない人も多いことでしょう。この大問題をどう解決すればいいのでしょうか。この「リスク」をうまくクリアできれば、第二の人生をバラ色にすることがきるはず…。本連載は長尾義弘著『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

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    老後資金を試算する場合は「平均余命」で考える

    ということは、1000万円程度の老後資金があれば、なんとか暮らしは維持できると思います。しかし、ゆとりある生活を送ろうと思えば、かなりの老後資金が必要になります。

     

    みなさんが実際にどのくらいの年金を受け取るかは、日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」やインターネットで確認できます。

     

    もうひとつデータを紹介しましょう。下の図は総務省の「家計調査」(2016年)の高齢夫婦無職世帯の家計収支です。

     

    毎月の実収入は21万2835円で、約5万5000円の赤字が出ています。この不足分は貯蓄を取りくずして充てているわけです。30年間の赤字は1980万円になります。

     

    こういった根拠から、老後資金はおよそ2000万~3000万円が必要だといわれているのです。

     

     

    平均寿命ではなく「平均余命」で考えよう

     

    老後資金を試算する際、本連載では100歳を目安にしました。

     

    2018年、男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.26歳です。ただし、平均寿命は赤ん坊からお年寄りまで全年齢を対象とした平均値のことです。60歳の人がこれからの老後生活を考えるなら、「平均余命」を参考にしなければなりません。平均余命とは、これから先、何年生きるのかという目安です。


     
    60歳男性の平均余命は23.72年、女性は28.97年となっています。平均ということは、半数の人はそれを上回る年齢まで生きているわけです。

     

    そして、60歳の男性が90歳まで生きる確率は23.5%、100歳までは1.4%になります。女性の確率はもっと高く、90歳までが48.4%、100歳までは6.7%です。女性は約半数が90歳まで生きています。

     

    かつて「きんさん・ぎんさん」という100歳以上の長寿の双子姉妹が話題になりましたが、今日では100歳という人など、あまり珍しくありません。1980年では100歳以上の高齢者が1000人以下(968人)だったのに対し、2012年には50倍の5万人を超えています。

     

    1980年当時、男性の平均寿命は73歳、女性が79歳でした。それに比べると、男女ともに8歳も延びています。

     

    今後、医学の発展によりますます長寿化は進んでいくと思われます。現在60歳の方が80歳になるころは、さらに平均寿命が延び、100歳まで生きることが当たり前になっているかもしれません。

     

     

     

     

    長尾 義弘
    ファイナンシャルプランナー
    AFP
    日本年金学会会員

     

     

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