飛行機の搭乗を怖がり、別の移動手段を必死で模索する人がいます。しかし確率的に見ると、電車や車で移動するよりも、飛行機に乗ったほうが事故に遭う確率はずっと少ないのです。なぜこのような「事実誤認」が起きてしまうのでしょうか。また、これらを修正せずに生活することで、どんな不具合が生じるのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

珍しい出来事ほど「大きく報道されがち」なので…

飛行機事故は、非常に大きく報道されるので印象に残りやすい、ということも人々が飛行機を怖がる理由のひとつでしょう。飛行機事故は、悲惨な出来事であるがゆえに、人々の関心が高く、マスコミとしては報道するインセンティブが大きい、ということもあるのでしょうが、それ以前に「珍しい事は大きく報道される」という点には注意が必要です。

 

「犬が人を噛んでもニュースにならないが、人が犬を噛んだらニュースだ」といわれるように、珍しいことがニュースになるのです。それにもかかわらず、ニュースで頻繁に見かけることが「頻繁に起きている」かのような気になってしまうため、要注意なのです。

 

たとえば、高齢者の運転する自動車の事故が起きると大きく報道されます。そのため、「高齢者の運転は危ない」と思っている人は多いかもしれません。しかし統計を精査すると、もしかしたら若者のほうが無謀な運転をする人が多く、事故だって多いかもしれないのです。もしそのような背景があるなら、若者が交通事故を起こしても「またか」と思われ、ニュースになりません。

 

上記の現象と「超高齢化が進展しているのに、高度成長期よりもはるかに交通事故の死亡者が減っている」というニュースとの関連を調べてみると、面白いことがわかるかもしれませんよ。とはいえ実際には、「免許は持っているけれども滅多に運転しない高齢者」が多いので、「運転している時間あたりの事故数」を比較するのは難しいかもしれませんが。

人は「最初に抱いたイメージ」にとらわれやすい

飛行機を怖く感じるまた別の要因としては「あんな大きくて重いものが空を飛ぶなんて」といった不可思議な印象もあるかもしれません。加えて、昔は現在と比較して飛行機事故が多かったため、高齢者ほど飛行機は怖いものだと思っているかもしれません。

 

技術は進歩していますから、飛行機は昔よりはるかに安全になっているはずなのですが、一度「怖い」と思ってしまうと、そのイメージから抜け出すのは容易なことではないのでしょう。

 

こうした固定観念は、ときどき最新の統計を見ることで修正していく必要があるかもしれません。たとえばバブル時代は「日本経済は世界一だ」といわれていたので、いまでも日本経済は世界の中でトップクラスだと思っている人が多いかもしれませんが、残念ながらそうではありません。

 

バブル崩壊後の長期低迷期に日本がゼロ成長を続けていた一方、諸外国が成長を続けていたわけですから、世界経済のなかでの存在感は大きく低下しているわけですね。

 

今回は以上です。なお、このシリーズはわかりやすさを最優先として書いていますので、細かいところについて厳密にいえば不正確だ、という場合もあり得ます。ご理解いただければ幸いです。

 

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塚崎 公義

経済評論家

 

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