飛行機の搭乗を怖がり、別の移動手段を必死で模索する人がいます。しかし確率的に見ると、電車や車で移動するよりも、飛行機に乗ったほうが事故に遭う確率はずっと少ないのです。なぜこのような「事実誤認」が起きてしまうのでしょうか。また、これらを修正せずに生活することで、どんな不具合が生じるのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

飛行機より、サンデードライバーのほうが危険なのに?

飛行機は世界中の空を毎日頻繁に飛び回っていますが、そのわりに、飛行機事故のニュースは滅多に見かけません。飛行機の事故が起きれば必ずニュースになるでしょうから、見かけないということは、滅多に事故が起きていないということなのでしょう。

 

実際、飛行機事故に遭遇して死亡する確率は非常に低いといわれています。自動車等々とくらべても、飛行機は安全な乗り物なのだそうです。まあ、実際にそうでなければ、パイロットや客室乗務員などは怖くて勤務できないでしょう。

 

それでも、「飛行機は怖いから、夏休みは遠出をせずにドライブに行こう」などと考える人は少なくありません。休日だけ運転するような運転の素人がドライブに行くほうがよほど危ないでしょうに(笑)。

 

今回は、「飛行機への搭乗を、実際の危険性以上に怖く感じる」理由について考えてみましょう。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

非常に小さい確率を「大きく感じてしまう」ワケ

目の錯覚が起こることよく知られていますが、脳も錯覚を起こします。人間の場合、非常に小さい確率については、実際よりも大きく感じるとされています。宝くじを買うと当たりそうな気がしたり、飛行機に乗ると墜落しそうな気がしたりする理由のひとつは、この錯覚にあるのでしょう。

 

「あなたに危険な仕事を頼みたい。確率1万分の1で失明する仕事なのだが、何円払えば引き受けてもらえるか」と読者が聞かれたら、相当高い金額を答えることでしょう。

 

では、読者のみなさんが、

 

「あなたは50%の確率で失明する病気を患っている。そんなあなたに、危険な仕事を頼みたい。確率1万分の1で失明する仕事なのだが、何円払えば引き受けてもらえるか」

 

と聞かれたら、どうでしょうか。

 

失明確率が50%から50.01%に高まるだけなら誤差の範囲だと考えて、安い金額で引き受けるかもしれませんね。

 

余談ですが、反対に非常に大きな確率は、実際より小さく感じられるのだそうです。

 

「あなたは99.99%の確率で失明する病気を患っている。そんなあなたに危険な仕事を頼みたい。確実に失明する仕事なのだが、何円払えば引き受けてもらえるか」

 

と聞かれたら、どうでしょうか。

 

失明の確率が0.01%高まるだけなのに、やはり高い報酬を要求する人が多いでしょうね。まあ、「0.01%の確率で助かる望みがゼロになる」と考えれば、納得ですが。

 

自分の脳が錯覚すると知るのはショックなことではありますが、それを知っているだけで意思決定に失敗する確率が下がるのであればむしろ、「知ることができてよかった」と考えるべきかもしれませんね。

 

ちなみに、客観的な確率と主観的な確率の関係をグラフにすると、こんな感じになっているようです。

 

 

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