「暗号資産の税金対策」有効なのは「法人化」?
ふたつめは、暗号資産をはじめとした金融商品は「利益を確定した時点できちんと納税しなければいけない」ということです。もともと確定申告をしていた方や、会社経営者の方などは、暗号資産の売却益もきちんと納税しなければいけないことを経験上理解しています。
ところが、たまたま暗号資産を初期に買った方などは、「そもそも確定申告など無縁」であったわけで、「そんなことしなくていいのでは?」と考えてしまう傾向にあるように感じます。
もちろん日本ではない取引所で保有すれば、当局の捕捉から逃れていることが一時的に出来るかもしれません。しかし、こういったかたちの暗号資産を狙った詐欺も増えてくるはずです。
一昔前、海外取引所で売買するFX詐欺が流行ったことをご存じでしょうか。「富裕層と税務当局の間」のイタチごっこに、「詐欺師」が割って入ったようなものです。納税を恐れるあまり海外に資産を逃がしても、海外で詐欺の被害にあったら意味がありません。
とくにやましいお金は、詐欺被害にあったとしても、結局当局に訴えることはできないので泣き寝入りをすることになります。そうなるくらいなら、きちんと申告し、利益を使ってさらに資産を増大していけばいいのです。
では暗号資産で資産形成をした方は一体、何をすればいいのでしょうか?
基本的な戦略は法人化です。個人の税率は住民税込みで最大55%。法人の税率は30%台です。この20%程度の税差、いわゆるタックス・アービトラージを取りに行く戦略です。実際、不動産を多く保有されている方、とくに都心部の方はこの法人化を進めている方が多いです(地方はまだまだ法人化されていない方も多い)。
また、地主さんは法人化されている場合でも「法人では物件を所有しておらず、物件を管理するだけの法人」が散見されます。これは家賃の10%前後しか管理報酬として取れませんので法人の使い方としてはかなりイマイチな方式です。やはり、法人自体が建物を保有し、賃料収入を10%ではなく100%法人に取り込むことが重要です。
またその法人化に関しても上記のように「管理だけ行う会社にするのか、直接建物を保有するのか」以外にも、いくつものやり方があります。
たとえば株主。その法人の株主を自分(50代で子供がいる父親としましょう)にするケースが一般的ですが、この場合、「自分(父親)が亡くなって相続税を納税、妻(母親)が亡くなって相続税を納税」となり、2回相続税を徴収されることになるので非効率です。筆者は、「株主を親ではなく子供にすべき」と考えます。そうすると2回相続税を取られることなく、0回で法人が保有する資産が子供に行くことになるのです。