住まいに関わる煩わしさをすべて排除
一般的な賃貸借契約の場合、入居の際には敷金・礼金のほか不動産業者への仲介手数料が、さらに退去するときには原状回復費用がかかりますが、サブスク賃貸ではこれらのコストがかかりません。
水道光熱費込みの上、家具や家電も備え付けてありますから、諸費用が劇的に節約できます。
サブスク賃貸への申し込みはとても簡単です。サービスを提供する不動産管理会社のホームページ内に紹介されている賃貸物件情報の中から利用したい物件を選び、入居申し込みフォームに必要事項を記入して送信ボタンを押すと、管理会社から賃貸条件に関するメールが届きます。送られてきた賃貸条件に納得できたらウェブ契約へ進み、初月定額料金を指定口座へ振り込めば、玄関の暗証番号が通知され、手続き終了です。
このように、煩わしい契約事項も簡素化されたサブスク賃貸の需要は今後ますます高まっていくことでしょう。
サブスクが受け入れられる「社会的背景」
内閣府の「国民生活に関する世論調査」では、消費者の価値観は「物の豊かさ」より「心の豊かさ」に重きを置く傾向が高まっているという結果が出ています。また消費者庁の「消費生活に関する意識調査」でも、「できるだけモノを持たない暮らしに憧れる」という問いに対し、調査対象者の半数以上が「当てはまる」と回答しています。
過去にはマイホームやマイカーを持つことがステイタスという時代もありましたが、バブル崩壊や就職氷河期という厳しい経済局面を体験してきた30~40歳代を中心に、住まいも持ち物も最小限(ミニマル)に絞って生活する「ミニマリスト」志向が高まっているようです。
ミニマリストはモノを持ちません。小振りのメッセンジャーバッグに入っているのは2〜3日着回せる衣類とスマホ、タブレット程度です。住まいにはモノを置かず、インテリアにもこだわりません。さまざまな場所で自由に暮らせるサブスク賃貸の生活様式は、まさに彼らのライフスタイルそのものなのです。
将来は、あらゆるものが「サブスク化」する!?
言語を判別して家電を操作するAI音声認識システムや、スマホ操作で玄関の施錠・開錠ができるスマートロックなど、住まいを取り巻くさまざまなアイテムにもサブスクの波は及んでいます。
サブスクの一種と呼ぶには規模が違い過ぎるかもしれませんが、ロボティクスやスマートホーム、MaaS(Mobility as a Serviceの略で、すべての移動手段を統合することで交通渋滞や大気汚染を減らす構想)など、世界中の最先端技術を盛り込んだ「コネクテッド・シティ(モノやサービスがつながる街)」構想が日本国内でも進んでいるようです。シティ内のサービスはすべてシームレスに提供されるので、そこで生活する人が支払う費用はサブスク形式になると推測できます。
暮らしのすべてがサブスクになる未来は、そう遠くはないのかもしれません。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】