自分の強みや特徴を明確に表現することが重要
機能的価値と情緒的価値、両方の顧客満足度を考える
機能的価値に対する満足度を高めるには、専門知識や経験を活かしてお客様の要望に適切に応える必要があります。特にコンサルティング業務などは、人により能力差が大きく出ます。この機能的価値に対する満足度の高さが能力的な信頼につながります。
そして、情緒的価値に対する満足度は顧客と関わる姿勢が大きく左右します。この姿勢を考えるうえで効果的なのは、能力には問題がない前提で、「人に紹介したい人とはどのような人か、紹介したくない人はどのような人か」について多くの意見を集める方法です。
私が主宰する経営心理士講座では、「人に紹介したい人とはどのような人か」「人に紹介したくない人はどのような人か」について受講生にディスカッションしてもらい、出てきた答えを蓄積して分析していますが、紹介したくない人については「相手の話が聴けない人」という意見が多いです。
「自分はきちんと話が聴けている」と思う人も多いかもしれません。私の講座では話を聴く自分の姿を動画撮影して見てもらうのですが、相づちがそっけなかったり、つまらなそうな表情をしていたり、視線が落ち着きなく動いていたりと、ほとんどの人が自分の聴く姿を見て驚きます。そして、「確かにこういう聴き方をする人は紹介しづらい」と、これまで紹介の機会を逃してきた可能性に気づきます。
しっかり話を聴いていたとしても、「しっかり話を聴いている」ことを相づちや表情、態度などで表現できていなければ、相手はしっかり聴いてくれていないと感じます。この表現力も情緒的価値に対する満足度に大きく影響します。これ以外にも、言葉遣いや話し方、礼儀、マナーなども情緒的価値に対する満足度に影響を与えます。
このような機能的価値と情緒的価値の両面から顧客満足度の高いサービスを提供し、既存のお客様から新たなお客様の紹介を受ける方法が、これからもオーソドックスかつ効果の高いマーケティング方法だといえます。
また、自分の強みや特徴を明確に表現することも重要です。強みや特徴があれば、お客様が人に勧めるときの口実になり、積極的に勧めてもらえやすくなります。お客様が自分のことを他の人に紹介する際に、どういう説明をするかを想像してみてください。自分の業務に満足してくれたとしても、その満足度を言葉で表現できなければ、紹介には繋がりません。
お客様が他の人に紹介する時に何と説明すればよいか、そのための言葉を知ってもらうためにも、自らの強みや特徴を端的に言葉で表現することが必要になるのです。これはとても重要なことですので、是非やってみていただければと思います。その説明がより魅力的なものとなるためには、既存のお客様とどういう関わりをすればよいかについて、これを機に一歩踏み込んで考えていただければと思います。
藤田耕司
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
FSGマネジメント株式会社代表取締役
FSG税理士事務所代表
公認会計士、税理士、心理カウンセラー
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