医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げ(東京女子医科大学など、現時点では数校値上がりしている大学がある)などもあり、近年、医学部人気が高まっているという。従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が続々参戦し、全国の82医学部入試の難易度が上昇している。では、どうすれば難関の医学部を突破できるのか。わが子の育て方、接し方から入試対策までを明らかにする。本連載は小林公夫著『わが子を医学部に入れる』(祥伝社新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

医学部進学実績は私立の中高一貫校が多い

中高一貫校から、医学部へ

 

医学部に入学するには、早いうちから医学部受験を考えた進路選びが非常に重要です。ここからは、高校別に見ていきます。

 

国公立医学部はセンター試験(2021年より大学入学共通テスト)の科目の幅広さ、二次試験の難しさという二大障壁があり、これを突破するには、高校に入ってから受験勉強を始めたのでは時間的に間に合いません。その点、一歩も二歩もリードしているのが、中学受験に成功した中高一貫校に通う子どもたちです。

 

2020年国公立医学部合格者数トップ30を見ると、1位の東海(愛知)、2位の灘(兵庫)、3位の洛南(京都)と、いずれも私立の中高一貫の進学校です(大学通信調べ)。

 

中高一貫の進学校では高校2年生の時点で、3年次までの内容が履修ずみですから、高校3年の1年間を丸々受験勉強に使えます。つまり、大学受験には圧倒的に有利なのです。

 

国公立大学の医学部合格者が多いのは私立の中高一貫の進学校だという。(※画像はイメージです/PIXTA)
国公立大学の医学部合格者が多いのは私立の中高一貫の進学校だという。(※画像はイメージです/PIXTA)

 

仮に中学受験に失敗したとしても、一度受験の洗礼を受けているのと、まったく受けていないのとでは、勉強に対する取り組み方が異なります。受験を経験した者はそのまま〝受験戦士〞となり、「東大一直線」ならぬ「医学部一直線」で突き進むことができます。

 

最近は、公立の中高一貫校の数も増えてきましたが、医学部進学の実績を誇っているのは私立の中高一貫校が圧倒的に多いようです。

 

私立の中高一貫校に子どもを通わせるには、ある程度経済的な余裕が必要です。そういう意味では、今は国公立医学部に子どもを入学させるには準富裕層くらいまでの経済力がないと厳しいと言えるかもしれません。経済的に恵まれない子どもが国公立大に入っていた時代とは違うようです。

 

附属高校から、医学部へ

 

私立医学部に限った話ですが、附属高校から内部進学を目指す道があります。中学受験や高校受験を勝ち抜くのも大変と言えば大変ですが、外部から医学部を受験することに比べれば、圧倒的に入りやすいとも言えます。

 

たとえば、獨協医科大医学部は定員120人のうち、獨協高校から現役3人、既卒2人の計5人が、獨協埼玉高校からは現役2人が、それぞれ内部進学しています(2014年度)。慶應義塾大医学部は定員113人のうち、5校の附属高校から合わせて40人前後が毎年内部進学しています。

 

なかでも、アメリカにある慶應義塾ニューヨーク学院は、国内にある附属高校に比べると偏差値が低く入りやすいのですが、慶應義塾大医学部に毎年2人ほどが内部進学しており、お得感のある附属高校としてジリジリと人気が出てきています。

 

私の教え子も通っていましたが、慶應義塾ニューヨーク学院は毎年夏になると、日本の中学生を対象に「バイリンガル夏期講習@慶應義塾ニューヨーク学院」というサマースクールを開催します。2週間、寮生活をしながら語学授業や映像制作プロジェクトなどを行なうというものです。慶應義塾ニューヨーク学院を一度ご覧になりたい方は、この機会を利用するといいでしょう。

 

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わが子を医学部に入れる

わが子を医学部に入れる

小林 公夫

祥伝社

近年、医学部志願者が急増しています。その要因として、医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げなどがあげられます。これにより、従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が参戦。全国の82医学…

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