「これまで生きていて良かった」…21世紀の経済活動に求められる「至高の体験」とは? (※画像はイメージです/PIXTA)

需要が飽和した現代社会では、経済活動がままならず、しかし余分な需要を刺激することは倫理的でない…。手づまりなように思えますが、消費には「必要」「奢侈」の2つしかないわけではありません。双方を満たす、21世紀の経済活動で目指すべきものについて解説します。※本連載は山口周著『ビジネスの未来』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。

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「必要なもの」と「奢侈」二項対立とは限らない

●今日の先進国では、安全で快適に生きるための物質的生活基盤の整備という課題をあらかた解決した上、これ以上の人口増大も期待できない「高原への軟着陸」へのフェーズに入りつつあり、必然的に「需要の飽和」が発生している。

 

●ビジネスが「問題の発見」と「問題の解決」で成り立っている以上、問題の多くが解決してしまった「需要飽和社会」では経済の停滞、利益率の低下が起き、それが先進国に共通して見られるGDPの低成長率、極端な低金利に表れている。

 

●これを避けるために「不必要な消費」を誘起すると、それは容易に「奢侈」に接続されてしまうが、そのような消費のあり方は「自然・環境・資源」の問題がより重要性を増している現在、倫理的に許されるものではなく、物理的にもサステナブルでない。

 

このように考えていくと、どうも「手詰まり」ではないかと思えてきますが、ここは非常に重要なポイントなので仔細にチェックしてみましょう。この論理のどこに突破口を見出せば、高原に豊かで瑞々しい社会を構想できるのでしょうか。

 

ていねいに思考をたぐり寄せていくことにしましょう。論理を脱構築しようとする際に攻撃すべき最脆弱ポイントは、暗黙の前提となっている「二項対立」です。この論理の場合は「消費のあり方」に関する二項対立の枠組みが、それに該当します。

 

本当に消費には「他者に関係なく必要なもの」と「他者に優越するために必要なもの」の2つ、すなわち「必要」と「奢侈」の2つしかないのでしょうか?

 

おそらく多くの読者は、「人間の欲求」を、竹を割るようにして2つに整理してしまうこの考え方に対して、「何か大事なことが溢れ落ちている」という違和感を覚えると思います。

 

ライプニッツ 代表 独立研究者
著作家
パブリックスピーカー

1970年東京都生まれ。神奈川県葉山町に在住。慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科美学美術史専攻修士課程修了。

電通、ボストン コンサルティング グループ等で戦略策定、文化政策、組織開発などに従事。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)でビジネス書大賞2018準大賞、HRアワード2018最優秀賞(書籍部門)を受賞。

その他の著書に、『劣化するオッサン社会の処方箋』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術』『グーグルに勝つ広告モデル』(岡本一郎名義)(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)、『知的戦闘力を高める 独学の技法』『ニュータイプの時代』(ともにダイヤモンド社)、『武器になる哲学』(KADOKAWA)など。

(的野 弘路=撮影)

著者紹介

連載日本人はコロナ後の世界をどう生きるべきか

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

山口 周

プレジデント社

ビジネスはその歴史的使命をすでに終えているのではないか? 21世紀を生きる私たちの課せられた仕事は、過去のノスタルジーに引きずられて終了しつつある「経済成長」というゲームに不毛な延命・蘇生措置を施すことではない…

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