「グローバル化」を進めてきたが…市場原理の限界
図表1をご覧ください。
地理的拡大を図ることで「問題の普遍性が高く市場が大きい」A領域の市場を拡大したとしても、どこかで限界を迎えます。グローバルというのは「閉じた球体」ですから、いずれは地理的拡大に限界を迎えることになるということです。するとAの領域については、ほぼ問題が解消されたということになり、別の問題に取り組む必要があります。
このとき、「難易度のより高い問題」に取り組む、つまりBの方向に領域を移すか、「普遍性のより低い問題」に取り組む、つまりDの方向に領域を移すかは、それぞれの事業者によって変わってくることになります。
しかしながら、基本的な選別のロジックとして、大企業であればあるほど、投資余力もあり、また必然的に大きな市場を求めることからBの方向へ、一方で規模のそれほど大きくない事業者は、投資余力がなく、またそれほど大きな市場を必要とするわけでもないので、Dの方向へと進出することになります。競争戦略が多様化するわけです。
さて、このようにして「問題の探索とその解決」を連綿と続けていくと、やがて「問題解決にかかるための費用」と「問題解決で得られる利益」が均衡する限界ライン、図表2にある「経済合理性限界曲線」にまで到達してしまうことになります。
このラインの上側に抜けようとすると「問題解決の難易度が高すぎて投資を回収できない」という限界に突き当たり、このラインを左側に抜けようとすると「問題解決によって得られるリターンが小さすぎて投資を回収できない」という限界に突き当たります。
つまり、このラインの内側にある問題であれば市場が解決してくれるけれども、このラインの外側にある問題は原理的に未着手になる、というラインです。資本主義が解決できる「問題の大陸」はこのラインによって境界線として規定され、ラインの外側にある問題は、「解決不可能な問題」として未着手のまま放置されることになります。