日本の子供「OECD最悪の貧困率」生む経済合理性という無関心

グローバル化を標榜し、地理的拡大を進めてきた多くの国は限界へ辿り着こうとしています。地球上の問題の普遍性が高く市場が大きい多くの問題は、ほぼ解消されてしまったためです。そこでより普遍性が低いもしくは難易度が高い方向へと、着手する課題の領域を移す必要があります。しかし市場経済が解決できるのは決まった範囲のみ…。そんな時代でよりよい社会をつくるため、難題解決への向き合い方について解説します。※本連載は山口周著『ビジネスの未来』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。

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「グローバル化」を進めてきたが…市場原理の限界

図表1をご覧ください。

 

[図表1]「問題の普遍性」と「問題の難易度」のマトリックス

 

地理的拡大を図ることで「問題の普遍性が高く市場が大きい」A領域の市場を拡大したとしても、どこかで限界を迎えます。グローバルというのは「閉じた球体」ですから、いずれは地理的拡大に限界を迎えることになるということです。するとAの領域については、ほぼ問題が解消されたということになり、別の問題に取り組む必要があります。

 

このとき、「難易度のより高い問題」に取り組む、つまりBの方向に領域を移すか、「普遍性のより低い問題」に取り組む、つまりDの方向に領域を移すかは、それぞれの事業者によって変わってくることになります。

 

しかしながら、基本的な選別のロジックとして、大企業であればあるほど、投資余力もあり、また必然的に大きな市場を求めることからBの方向へ、一方で規模のそれほど大きくない事業者は、投資余力がなく、またそれほど大きな市場を必要とするわけでもないので、Dの方向へと進出することになります。競争戦略が多様化するわけです。

 

さて、このようにして「問題の探索とその解決」を連綿と続けていくと、やがて「問題解決にかかるための費用」と「問題解決で得られる利益」が均衡する限界ライン、図表2にある「経済合理性限界曲線」にまで到達してしまうことになります。

 

[図表2]経済合理性限界曲線

 

このラインの上側に抜けようとすると「問題解決の難易度が高すぎて投資を回収できない」という限界に突き当たり、このラインを左側に抜けようとすると「問題解決によって得られるリターンが小さすぎて投資を回収できない」という限界に突き当たります。

 

つまり、このラインの内側にある問題であれば市場が解決してくれるけれども、このラインの外側にある問題は原理的に未着手になる、というラインです。資本主義が解決できる「問題の大陸」はこのラインによって境界線として規定され、ラインの外側にある問題は、「解決不可能な問題」として未着手のまま放置されることになります。

 

ライプニッツ 代表 独立研究者
著作家
パブリックスピーカー

1970年東京都生まれ。神奈川県葉山町に在住。慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科美学美術史専攻修士課程修了。

電通、ボストン コンサルティング グループ等で戦略策定、文化政策、組織開発などに従事。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)でビジネス書大賞2018準大賞、HRアワード2018最優秀賞(書籍部門)を受賞。

その他の著書に、『劣化するオッサン社会の処方箋』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術』『グーグルに勝つ広告モデル』(岡本一郎名義)(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)、『知的戦闘力を高める 独学の技法』『ニュータイプの時代』(ともにダイヤモンド社)、『武器になる哲学』(KADOKAWA)など。

(的野 弘路=撮影)

著者紹介

連載日本人はコロナ後の世界をどう生きるべきか

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

山口 周

プレジデント社

ビジネスはその歴史的使命をすでに終えているのではないか? 21世紀を生きる私たちの課せられた仕事は、過去のノスタルジーに引きずられて終了しつつある「経済成長」というゲームに不毛な延命・蘇生措置を施すことではない…

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