日本社会の悲惨な事態に「目を背けてる人」が言い訳に使うこと

国内にある格差・貧困・虐待の現状をどれだけご存知でしょうか。こうした悲惨を「自分とは関係のないもの」とせず、解決のために「人間性に基づいた衝動」を起こすことが求められています。※本連載は山口周著『ビジネスの未来』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。

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「経済合理性」を理由に貧困や格差を放置していないか

私たちの文明社会は市場原理とテクノロジーの力を用いて、数多くの問題を解決することに成功してきました。しかし、これを逆側から指摘すれば、現時点で残存している深刻な問題の多くは、現在の社会システムを前提にしていては解けない「経済合理性限界曲線」の向こう側に横たわっているということでもあります。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

テクノロジーによるイノベーションはまさにこの「経済合理性限界曲線」を外側に押し広げるために行われるわけですが、現在でも特に、図表のマトリックスのDの領域に位置する問題は、経済合理性だけに頼ったのでは解決することのできない問題として残存し続けています。

 

[図表]「問題の普遍性」と「問題の難易度」のマトリックス

 

しかし、これを「だから仕方がない」で済ますことは、私たちには許されません。仮にも民主主義を掲げる国において、そのような切実な問題が解決されずにいるというとき、その責任を負うべきなのは施政者ではなく、私たち自身だということをゆめゆめ忘れてはなりません。

 

フランスの文学者で飛行家でもあったアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは著書『人間の大地』の中で次のように述べています。

 

人間であるということは、まさに責任を持つことだ。おのれにかかわりないと思われていたある悲惨さをまえにして、恥を知るということだ。仲間がもたらした勝利を誇らしく思うことだ。おのれの石を据えながら、世界の建設に奉仕していると感じることだ。

 

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『人間の大地』

 

サン=テグジュペリは「人間の条件」として「おのれにかかわりないと思われていたある悲惨さをまえにして、恥を知る」ということをあげています。もし私たちが「経済合理性」を理由にして、社会に残存する格差や貧困や虐待といった「悲惨さ」を放置せざるを得ないのだとすれば、もはや私たちは人間性を備えた存在=ヒューマンビーイングたり得ないと言っているのです。今日の日本の社会が抱えている悲惨さを思い返せば、実に耳の痛い指摘です。

 

ライプニッツ 代表 独立研究者
著作家
パブリックスピーカー

1970年東京都生まれ。神奈川県葉山町に在住。慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科美学美術史専攻修士課程修了。

電通、ボストン コンサルティング グループ等で戦略策定、文化政策、組織開発などに従事。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)でビジネス書大賞2018準大賞、HRアワード2018最優秀賞(書籍部門)を受賞。

その他の著書に、『劣化するオッサン社会の処方箋』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術』『グーグルに勝つ広告モデル』(岡本一郎名義)(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)、『知的戦闘力を高める 独学の技法』『ニュータイプの時代』(ともにダイヤモンド社)、『武器になる哲学』(KADOKAWA)など。

(的野 弘路=撮影)

著者紹介

連載日本人はコロナ後の世界をどう生きるべきか

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

山口 周

プレジデント社

ビジネスはその歴史的使命をすでに終えているのではないか? 21世紀を生きる私たちの課せられた仕事は、過去のノスタルジーに引きずられて終了しつつある「経済成長」というゲームに不毛な延命・蘇生措置を施すことではない…

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