株式会社野村総合研究所は昨年12月、企業オーナー経営者を対象に行ったアンケートの調査結果を発表しました。本データをもとに、日本の富裕層の現状について見ていきます。

「超富裕層」「富裕層」増加の衝撃

株式会社野村総合研究所の調査によると、2019年、富裕層・超富裕層の世帯数は2005年以降で最多となった。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

富裕層の定義は様々だが、同調査では負債を差し引いて保有している「純金融資産保有額」(株・不動産・預貯金等)をもとに推計し、保有額1億円以上5億円未満を「富裕層」、5億円以上を超富裕層と定義づけている。その数及び金額は下記のとおり。

 

超富裕層(5億円以上)・・・8.7万世帯/97兆円

富裕層(1億円以上5億円未満)・・・124.0万世帯/236兆円

準富裕層(5,000万円以上1億円未満)・・・341.8万世帯/255兆円

アッパーマス層(3,000万円以上5,000万円未満)・・・712.1万世帯/310兆円

マス層(3,000万円未満)・・・4,215万世帯/656兆円

 

「アッパーマス層」「マス層」の純金融資産保有額は前調査比で減少した一方、「超富裕層」「富裕層」「準富裕層」の純金融資産保有額はそれぞれ増加している。同調査では、株式等の長期保有によって資産価格が上昇したことを一因として挙げているが、次回以降の調査ではコロナ禍の影響がさらに如実に表れると推測している。

 

「富裕層」「超富裕層」を対象に、コロナ禍における資産管理・運用の意識についても調査している。詳細は割愛するが、特徴的といえるのは、「複雑でわかりにくい商品よりも、シンプルでわかりやすい商品を好むようになった」が50%、「経済の先行きや、自分が管理・運用している資産に関して、積極的に情報収集や勉強をするようになった」が47%と、資産を自分自身で管理・把握する意識が向上している点だ。

 

直近では、野村ホールディングスが米子会社で約20億ドル(約2,200億円)もの巨額損失を出した恐れがあることを発表したのも記憶に新しい。東京株式市場で同社の株は続落しており、改めて資産管理への意識は高まっているといえるだろう。

富裕層の財産没収を本気モードで進める日本政府

富裕層の資産増加を政府が見逃すはずもなく、財産没収ともいえる政策が順次進められている。株式会社アレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏が指摘するのは以下のような点だ。

 

2020年の政府税制調査会では「格差の固定化」を阻むべく、贈与税にも何らかのメスを入れるべく検討を進めると明言されていますし、生命保険を使った富裕層向けの特殊な税金対策である低解約返戻金逓増(ていぞう)定期保険も今月フタをされることが報道されました。数年前、海外に移住することで相続税を逃れていた富裕層に対する移住期間が、5年から10年に延長されたことも記憶に新しいところです。”江幡吉昭氏『富裕層の「財産没収」に本気モードの日本政府…包囲網強化の裏』(2021/3/24 幻冬舎ゴールドオンライン連載記事より)

 

大まかに、日本の富裕層は「地主」「企業オーナー」「医師」「大企業役員」の4つにわけられる。世界を見渡すと、コロナ不況脱却のため、英国や米国は法人税率を上げる意向を示している。日本も右に倣えと法人税率や贈与税率の引上げが本格的に始まれば、富裕層の資産防衛意識はますます高まっていくといえよう。

 

 

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