金融資産を大切にして、将来起こり得るリスクに備える
なぜ資産寿命を延ばすことが必要なのでしょうか。それは端的に言えば医療技術の発達に伴って肉体的な寿命は延びる傾向にあるけれど、それに見合う資産が不十分ではないかという懸念があるからです。
但し、実際に生活していくだけであれば、それほど過剰に心配することはありません。日常の生活費は公的年金でかなりの部分、カバーできるからです。
贅沢な生活をしたいのであれば公的年金だけでまかなうのは難しいですが、普通の生活をするのであれば、ほぼ公的年金だけでも大丈夫だというのが、定年後、既に7年を過ごした筆者の実感です。
では資産が十分ではないかもしれない懸念というのは何に対する不安なのでしょう。それは予測できない事態への対応にあります。具体的には医療や介護等、そして将来、有料老人ホームや老人福祉施設等への入所や生活にかかる費用です。
自分が将来健康を害することになるかどうか、そして要介護になったとして、その状態がどれぐらい続くのかは誰にもわかりません。さらにはパートナーを含めた家族の有無やその人達を取り巻く状況も人それぞれです。
したがって、自分が保有する金融資産や退職金などで手に入るお金があるのなら、それらはなるべく取り崩さずに延命させ、将来起こり得るリスクに備えることが必要なのです。
老後生活におけるお金のやりくりで理想的な方法は、
① 日々の生活は公的年金でまかなうようにする
② 趣味や楽しみのための費用は働いて得る収入やそれを貯めた資金でまかなう
③ 退職金や自分の保有する金融資産はできるだけ取り崩さず、将来に備える
と項目として挙げてみると、とてもシンプルなものです。ですが、実際に実行するとなるとルールや考え方をしっかりと持っていないと意外に難しい場合が出てきます。
資産寿命を延ばすというのは、それほど簡単ではないのです。
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