サブスク時代のリテンションマーケティング(解約防止)に注目が集まっています。コロナ禍で初めてサブスクリプションやECを体験した人も急増するなど、入会や注文が手軽にできる半面、利用者は解約もネットで簡単にできるようになり、企業は解約という課題が突きつけられています。リテンションマーケティングに詳しい株式会社Smashの佐野敏哉氏が膨大な顧客データから解約防止につながる7つの要素を明らかにします。本連載は株式会社Smashの佐野敏哉氏がいまデジタルマーケティングの現場で何が起きているか、分かりやすくレポートします。

解約する人がわかるとサービス、品質向上につながる

⑥解約する人をペルソナ化する

 

あくまで企業側が主体ではなく、どのような人が、どのような理由で解約しているのかを理解し対策していくかが、サービスや商品の品質向上に繋がっていきます。まずは流入別との解約の因果関係を紐解いていきましょう。時には、広告の過度な表現やご表記が解約の原因ということもあります。

 

どんな人が買ってくれるかを探すことも大切ですが、どんな人が解約してしまうかを知ることは、商品やサービスの根幹の課題が凝縮されています。通販企業の多くは初回の料金を下げたりして新規顧客の取り込みを行っていますが、そういった企業は初回で解約されてしまうと、ほとんどが赤字になってしまうのが大半です。初回で解約しない人は、どんな人なのか? どのメディアにいるのか?をしっかりと理解しましょう。

 

⑦ライフイベントに柔軟に対応する

 

どのようなサービスでも、利用者の1%から3%ほどは、毎月このライフイベントによる解約が理由になっています。結婚、引越、就職、入院など、ライフイベントにも様々な理由はありますが、顧客のライフイベントに柔軟に対応し、時にはお祝いの言葉を述べ、解約を気持ちよく受け入れることも長期的にサービスの成長につながります。利用者の許諾がとれるなら、1年後、2年後、ナーチャリングしてもいいか尋ね、企業と長期的なリレーションを作るチャンスと捉えてみましょう。

 

逆を言えば、ライフイベントで解約する人もいれば、ライフイベントにより入会や購入される場合もあります。自社のサービスや商品がそのようなライフイベントとどのような因果関係があり、強み、弱みがあるのかを知ることで、新しい施策や改善のアイデアになるでしょう。ちなみに、解約理由がおめでたいライフイベントだと答えてくれた方に、お祝いの言葉を述べると10%くらいの人はサービスを継続してくれています。

 

デジタルコンテンツ系だと「時間がなくなった」、物販系の定期通販だと前述した「商品が余っている」というのが上位に入る解約理由になっています。企業側は、一方的に利用してもらうことや、使ってもらうことを推し進めてしまいますが、企業は、なぜ時間がなくなってしまったのか?なぜ商品が余ってしまったのか?を考えてあげ、理解し、コミュニケーションの設計をすることが大切になります。時には使い続けてくれている顧客にも耳を傾け、その理由に傾聴することも忘れてはいけません。

 

 

上のグラフは、とある企業の定期通販4商品の3年間の売上数のグラフです。新規の波を作っても定着率低い商品Aだと3年後もそれほど売上は積み上がりませんが、定着率が高いと徐々に数字を積み上げることができます。定着率が低いと新規獲得のためのコストも、多くの投資が無駄になってしまうことでしょう(※ここでは利用者の平均購入回数を、定着率と定義しています。縛りなしの商品になります)。

 

サブスクや定期通販などは、毎月解約の判断をするタイミングを利用者に与えています。特に1カ月目の解約数は多くの企業で1位となっており、ここを乗り越えると一気に継続率が上がり、長期利用の可能性も高くなります。

 

今回お伝えした7つのルールは、この初月の壁を乗り越える上でも参考になるかと思います。よいサービス、よい商品であれば利用者は、企業に対して理解をしめしてくれます。そのためには適切なタイミングで適切なコミュニケーションを取るのが大事になってきます。解約理由にはサービスや商品の課題が凝縮されています。理想を言えば、本当にいい商品やサービスであれば解約は発生しないのかもしれません。

 

佐野 敏哉
株式会社Smash

 

 

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