「ポートフォリオ・リバランス」に伴う株安圧力の影響は?

3月26日時点の世界株式指数の年初来リターン(米ドル建て)が約+5%であるのに対し、世界国債指数の同リターン(米ドル建て)が約-5%であることから、差し引き約+10%のリターン差異が発生している。価格変動によって起こった投資比率の「ゆがみ」を目標水準まで戻す「ポートフォリオ・リバランス」は、どれほど株式市場に影響を及ぼしているのだろうか?

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世界株式/国債のリターン差異によって発生しうる「ポートフォリオ・リバランス」の影響

例えば、世界株式比率60%、世界国債比率40%を維持することを目標とした(四半期ごとに比率調整する)バランス型ファンドがあったとする。

 

直近の四半期のように世界株式のリターンが+5%、世界国債のリターンが-5%になれば、世界株式の比率は計算上、期初時点の60%から約62.4%へ上昇する(世界国債は40%から約37.6%へ低下する)ことになる。

 

ここで、期末時点に世界株式の比率を60%へ戻すのであれば、株式を売却し国債を買付ける必要が出てくる。

 

このように期末近辺に行われる比率調整は「ポートフォリオ・リバランス」と呼ばれており、この比率調整に伴う売買が株式市場に影響を及ぼすと一般的には考えられている。では、実際はどの程度のインパクトをもたらしているのか?

 

2017年12月末=100、日次、米ドル建て、世界株式指数は配当込み 期間:2017年12月末~2021年3月26日 ※円は「ポートフォリオ・リバランス」による影響があったと推測される期間 ※世界株式指数:MSCI World Net Total Return(USD)Indexを使用 ※世界国債指数:FTSE World Government Bond(USD)Indexを使用 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]世界株式指数と世界国債指数の推移 2017年12月末=100、日次、米ドル建て、世界株式指数は配当込み
期間:2017年12月末~2021年3月26日
※円は「ポートフォリオ・リバランス」による影響があったと推測される期間
※世界株式指数:MSCI World Net Total Return(USD)Indexを使用
※世界国債指数:FTSE World Government Bond(USD)Indexを使用
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

今回のように世界株式と世界国債のリターン差異が比較的大きくなった局面(+10%以上)は、2017年12月末以降で計3回あった(2019年1-3月期、2020年4-6月期、2020年10-12月期)。そのうち、実際に期末にかけて株安となった局面は2019年1-3月期と2020年4-6月期の2回だった。今回も期末にかけて弱含んでいることを勘案すると、「ポートフォリオ・リバランス」に伴う株安圧力が全くないとは言い切れないだろう。

 

四半期、米ドル建て、世界株式指数は配当込み 期間:2017年12月末~2021年3月26日 ※円は(世界株式リターンー世界国債リターン)が+10%以上の期間を示す ※世界株式指数:MSCI World Net Total Return(USD)Indexを使用 ※世界国債指数:FTSE World Government Bond(USD)Indexを使用 ※2021年1-3月期は3月26日時点までのリターン 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]世界株式指数と世界国債指数の四半期別リターンとリターン差異(世界株式リターン-世界国債リターン) 四半期、米ドル建て、世界株式指数は配当込み
期間:2017年12月末~2021年3月26日
※円は(世界株式リターンー世界国債リターン)が+10%以上の期間を示す
※世界株式指数:MSCI World Net Total Return(USD)Indexを使用
※世界国債指数:FTSE World Government Bond(USD)Indexを使用
※2021年1-3月期は3月26日時点までのリターン
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

実際は「ポートフォリオ・リバランス」を見越して株式が先んじて売却されている可能性も

世界株式と世界国債のリターン差異を事前に計算することは容易なので、実際は「ポートフォリオ・リバランス」を見越して先んじて株式が売却されている可能性もある。その結果、「ポートフォリオ・リバランス」の実需以上に株式需給が悪化している可能性も否定できない。

 

だが、いずれにせよ「ポートフォリオ・リバランス」に伴う過去の株安圧力(と思われるもの)は短期的なものにとどまっているため、過度に警戒する必要もないだろう。2021年4月以降、株式市場が再び企業業績等のファンダメンタルズを反映した相場展開へ回帰するかどうか注目だ。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『「ポートフォリオ・リバランス」に伴う株安圧力の影響は?』を参照)。

 

(2021年3月29日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

 

 

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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