解説:「株式を兄弟姉妹で分散させない」は鉄則
Aさんの行動力には目を見張りますね。最後は無事、義姉から株式もすべて買い取ることができて、会社も古参の社員が支えてくれているということで何よりです。ある意味では、Aさんはこの苦難があったからこそ会社にかける想いを強く持てたのかもしれません。
このような経営者の交代劇のケースでは、いきなり素人が会社のトップに立つわけですから、逆に古参とのトラブルが発生することも少なくないです。三代目が「会社を潰すわけにはいかない!」という想いで経営をし、Aさんも三代目の想いに全力で応えたからこそ、古参の方々も会社を離れることはなく、Aさんを支えてくれているのではないでしょうか。ただし、ここは結果論ですので、専門家として法律的な側面から事前の対策が打てなかったのかを検討していきます。
まずは、お分かりかとは思いますが、先代である義父が亡くなったときの株式の承継の仕方が良くなかったことが発端です。良く言われることではありますが、株式の承継においては極力兄弟姉妹で分散をさせないほうが良いというのは鉄則です。とくに、複数人で経営に携わるという特殊な状況でもなく、会社の跡継ぎは長男が決まっていたわけですから、その時点でできるだけ早期に株式の承継を計画して対策しておくべきであったと思います。
実際に事業承継の相談というのは数多くありますが、できるだけ早期に株式を承継することをおすすめしています。遅くとも代表が変わったタイミングでは全株式の承継をしたほうが良いです。先代と接しているとこれを嫌がる人もいますが、筆者はすべてを承継したほうが良いと強くすすめます。また、代表が交代する前であっても後継者が決まっているようであれば、できるだけ早期に株式を後継者に全株相続させるような遺言書を作成すべきであると考えます。
なぜ、株式の承継を分散させないほうが良いかというと、これは正にこの事例がそのケースですが経営に置いてマイナスに働くことが多いからです。株式を持つということは会社の議決権を持っているということであり、大きな経営判断をする場合には、株主の同意を得なければなりません。最低でも普通決議が取れる50%超、さらには特別決議ができる2/3超は最低でも後継者が所有すべきですし、それだけではなく、少数株主であったとしても、たとえばM&A会社を売却するなどの際に、それが原因で揉めてしまい案件が決まらないなど、トラブルの元にしかなりませんので、やはり分散させることはおすすめできません。
さらにはその状態で会社が50年、100年と業歴を重ねた時にその株式は次の代、さらにまた次の代へと引き継がれていきます。そうなると兄弟姉妹という関係から、いとこ、はとこ、と引き継がれていくことになり、関係性としては益々希薄となります。そうなってしまうと、ほぼ他人同士の関係性であり、もはや収拾をつけるのは困難となってしまい、裁判まで発展するケースもあります。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!