日本で亡くなる人は、年間130万人。亡くなる人の数だけ相続がありますが、お金が絡む話にはトラブルはつきものです。今回は兄妹の間で起きたトラブルについて、山田典正税理士が解説します。

もらえるモノはもらう…父の相続で兄は

【登場人物】

◆被相続人
母・80代(父はすでに他界)

◆相続人
Aさん(兄・長男)、既婚、子どもなし
B子さん(妹・長女)、未婚(婚姻歴はあり)、子どもなし、母と実家で同居

 

60代のB子さん。母と同居していますが、元々、足腰が悪く、最近は日常生活を送るのも苦労する場面も多くなりました。「歳には勝てないね……」というため息まじりの弱気な言葉も増えていったといいます。

 

B子さんが母と同居を始めたのは、20年ほど前のこと。元夫と離婚を機に実家に戻ってきました。実家は近所付き合いが多い地域にあるため、少々ばつが悪いと感じましたが、両親は温かく迎えてくれたので、実家に戻ることを決心したそうです。

 

母の状態は、年々悪くなり、ひとりで日常生活を送るのも困難になっていきました。このとき、B子さんはリタイアし、やっと悠々自適な生活ができるというタイミング。そんなB子さんに自身の介護で手を煩わせるのは不憫に思ったのが、母から「介護施設に入る」と言ってきたといいます。

 

しかしB子さん、「これからお母さんとふたり、水入らずでいられるのに、なんでそんなこと言うのよ」と母の申し出を一蹴。結局、B子さんの手を借りながら、自宅で介護生活を送ることになったのです。

 

一方、B子さんには、兄であり、一家の長男であるAさんがいます。B子さんがついているとはいえ、実の母が介護生活になったのですから、何かしらフォローがあってもいいはず……それに対しAさんは「B子がいるから安心だな」というだけで、ほとんどアクションはなし。

 

そんな兄について「昔から、面倒なことを避けるようなところがあったから」とB子さん。予想通りの展開だったといいます。

 

「長男って、もっと頼りになる存在だと思いますが、うちに限ってはまったくないです。それなのに、さらにお金に対して執着心が凄くて……悪く言うのは良くないですが、結婚した相手が悪かったのかも」

 

それは父が亡くなった時のこと。相続として、実家と預貯金が対象となりましたが、B子さんとしては、これからの生活もあるので、当時まだ60代だった母がすべて相続すればいいと考えていたといいます。しかしそこに待ったをかけたのがAさんだったといいます。

 

「実家はいいとして、預貯金の1/4はよこせの1点張り。私たちも揉めたくないから、とりあえず兄の主張通り、遺産分割をしたんです」

 

そのようなことがあったので、もし母に万が一のことがあったら面倒くさいことが起きるんだろうな……そう予感していたといいます。兄がお金に対してうるさくなったのは、結婚してからだとB子さん。

 

「奥さんがケチなうえ、図々しい人で……その影響もあったのでしょうね。次第に兄も金に執着するようになって、父の相続の際にあんな態度をとるようにまでなって」

 

もし母に万が一のことが起きたら、面倒くさいことになるだろうな……そんな予感がしていたB子さん。その万が一のことが起きたのは、介護生活となってから3年後のことでした。

 

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※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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