「確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年このような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

通院時の「マイカー」と「バス」得なのは?

正解:全額を医療費控除にできるのは、バスや電車などの公共交通機関

 

1年間に10万円を超えるような医療費の支払いがあれば、医療費控除を使った節税を考えましょう。このときに注意したいのが、「何が医療費控除の対象なのか」という点です。

 

同じように病院に通院するという目的であっても、マイカーの駐車料金やガソリン代は医療費控除の対象にならず、バスや電車の料金は対象になっているので、マイカーは不利です。タクシー代についても、こちらは電車やバスなどの公共機関を利用できない場合を除き、医療費控除の対象になりません。

 

このように、医療費控除には微妙な判断が少なくないため、その対象を理解しておく必要があります。まず、医療費控除の対象になるものは、病院に支払う治療費や医薬品の費用などが基本です。

 

医療費控除には微妙な判断が少なくないため、その対象を理解しておく必要があるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
医療費控除には微妙な判断が少なくないため、その対象を理解しておく必要があるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

つぎに、医療費控除の対象として間違えやすいものを紹介しましょう。

 

①自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等
②健康診断や人間ドックの費用
③美容整形手術
④美化のための歯科矯正治療
⑤メガネ、コンタクトレンズ、補聴器の費用(治療に必要な特殊眼鏡はOK)
⑥医師等に対する謝礼金
⑦ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金
⑧疲れを癒い やしたり、体調を整えたりするためのマッサージ費用
⑨家族や親類縁者への付添料

 

これらは一見、医療費控除の対象になりそうに思えますが、いずれも医療費控除を使うことはできません。とくに健康診断の費用や、歯科矯正治療のように、病院から領収書をもらえるものは勘違いしやすいです。しかも歯列矯正治療については、治療の側面が強い場合には例外的に認められることもあるため悩ましいもの。高額な費用になるだけに、事前に取り扱いを確認しておきたいところです。

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確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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