「確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年このような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

医療費控除は実際に支払った日が基準

医療費控除というと、健康のためにかかったお金であれば何でも認められると思われがちですが、予防や付添、美容目的といった、治療に直接当てはまらないものは対象にならないということを覚えておきましょう。

 

また、損害賠償や保険金などで医療費が補塡された場合も注意が必要です。この場合、補塡された金額を医療費控除の金額から除く必要があります。

 

よくあるのが、出産にともなう医療費控除の間違いです。たとえば出産にともなって医療費控除が50万円になったとしても、分娩費の補助金制度などで40 万円が戻ってきたのであれば医療費控除は10万円に減額されます。

 

最後にもうひとつ間違えやすいポイントとして、「医療費の集計期間」の問題があります。

 

医療費控除は、じっさいに支払った日をベースにカウントされますから、治療を受けたのがいつかは関係ありません。たとえば、令和元年12月分の入院費を、翌年1月に支払ったとすると、この入院費は令和元年分ではなく、令和2年分の医療費控除になります。

 

医療費控除は、いつも使えるというものではありませんが、一生のうちに何度かは使う機会がくるでしょう。

 

ケガや病気はできるだけ避けたいものですが、万が一、医療費控除を使えそうな状況になったら、あらためて医療費控除の対象を確認しておきましょう。

 

本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2021年2月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。

 

小林 義崇
フリーライター 元国税専門官

 

 

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確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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