「確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年このような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

病院とドラッグストアのレシートはどっちが有用?

正解:「ドラッグストアのレシート」なら、少額でも医療費控除の対象に

 

医療費控除は、1年間に自己負担した医療費の合計が10万円を超えなければ基本的に活用することができません。例外として、総所得金額等の合計が200万円未満の場合は医療費控除の計算方法が変わりますが、現役世代の収入レベルでは、やはり「医療費控除には年間10万円のハードルがある」と考えておいたほうがいいでしょう。

 

しかし、2017年(平成29年)1月1日からはじまった医療費控除の特例「セルフメディケーション税制」の登場によって、状況が変わりました。

 

セルフメディケーション税制は、病院に行かず、市販薬でみずから治療をした場合に使える医療費控除で、年間1万2000円を超える支払いがあれば利用することができます。通常の医療費控除のハードルが10万円であることとくらべると、かなりハードルは低いといえるでしょう。

 

市販薬でみずから治療をした場合にも医療費控除できるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
市販薬でみずから治療をした場合にも医療費控除できるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は、いずれか一方を選択しなくてはならず、両方を使うことはできません。そのため、病院によく行く人は通常の医療費控除、ドラッグストアをよく使う人はセルフメディケーション税制を選択するのが合理的です。

 

気をつけなくてはならない点は、医療費控除の対象と、セルフメディケーション税制の対象の違いにあります。

 

セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は厚生労働省によって指定されており、何でも認められるわけではありません。ただ、風邪薬や鎮痛剤といったものから、軟膏や湿布、点眼薬など幅広い品目が対象になっており、その数は2019年7月30日現在、1744品目に上がっています。

 

とはいえ、いちいち厚生労働省のホームページなどから、セルフメディケーション税制を使えるかを確認するのは大変です。この点は、パッケージをよく見ることで解決できます。セルフメディケーション税制の対象の商品の多くに、共通識別マークが書かれています。

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確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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