2人で一生懸命貯めた「財産」守るためには…
こんなとき、奥様の味方となってくれるのは、やはりご主人の遺言書です。ご主人はまだまだご夫婦で老後を楽しむつもりでいたので、奥様は遺言書などあるはずがないと思っていました。それでも、相談した弁護士は、今一度、粘り強く探すようにと勧めました。
亡くなった方が生前、遺言書のありかをご家族に伝えていないと、遺言書の探索はなかなかに大変です。特に急逝された場合、まるで宝探しのようになってしまいます。奥様は葬儀の手配や保険の届出など、すべてを一人でこなしながらなので、泣くひまさえありません。
そのとき、奥様は、ふとご主人の口座がある銀行にまだ届出していないことを思い出しました。口座名義人の死を金融機関に伝えると、遺産分割協議がととのうまで、原則、口座凍結されてしまいます。そのため、葬儀費用などの資金が必要な間は、後回しにしていたのです。
「確か、あの銀行で夫は貸金庫を契約していたはず」。銀行の貸金庫への入室には、入室用カードキー、暗証番号、金庫の開閉用の鍵が必要です。それらのありかを奥様は知っていましたし、暗証番号も察しがつきました。「試しに、あの銀行の貸金庫へ行ってみよう」。
ドキドキしながら奥様が貸金庫を開けると、なかにあったのは…残念ながら、遺言書ではありませんでした。しかし、そこには、ご主人がパソコンで作成した財産目録が! 財産目録があるということは、きっと遺言書もあるに違いないと、奥様は確信しました。
ご主人の慎重な性格からすると、公正証書遺言ではないかと推測されました。公証役場で証人2名の立ち会いのもと、遺言書を残したい人が口頭で遺言内容を伝え、公証人が作成する遺言書です。そして、公証役場に保管されるので、紛失する心配もなく確実です。
現在、公正証書遺言は日本公証人連合会によってデータベース化されています。公正証書遺言の存在を遺言者が明かさずに死亡した場合も、全国どこの公正役場からでも検索できます。利用料は無料です。遺言者の死後であれば、法定相続人、受遺者、遺言執行者などの利害関係者に限り、利用できます。
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